Excelの資格試験のなかで、最も認知度があって人気があるのは、MOS（マイクロソフト オフィススペシャリストMicrosoft Office Specialist）です。受験料や問題の形式などについてはMOSの公式サイトを見るのが確実ですが、デメリットについては書いてありません。
ところで、この試験を受験する人のレベルはさまざまなので、何日勉強すれば受かるといったことは言えません。1週間で受かる人もいれば半年かかる人もいます。しかし、Excelの基礎を知っている人であれば「独学で合格できる」試験であるということは断言できます。
そこで、今回は、MOS試験Excelの一般レベルの試験について、他のサイトであまり触れていない部分を中心に述べてみたいと思います。
問題
MOS試験Excel一般レベル（スペシャリストレベルともいう。２つのレベルのうち基本レベルのほう）について原稿用紙10枚（4,000字）程度で論じなさい。ただし、バージョンは問わない。
解説
今回は特別企画につき動画へのリンクはありません。
- １．Excelの資格試験について
- ２．MOSとは何か？
- ３．MOS Excel一般レベルについて
- ４．デメリット＝お金の問題
- ５．おすすめ受験対策本（緑本）
- ６．レベル別勉強方法と合格までの日数
- ７．履歴書の記載方法
- ８．MOS Excel一般レベル練習問題
- ９．求人票の「2級」や「中級」は信用するな
- 10．就職に有利か？役に立つのか？という愚問
- 11．あれっ？宣伝はしないのか？
- 12．MOS合格祈願！！
１．Excelの資格試験について
「Excelの能力を第三者に証明してもらいたい」というニーズは高く、いろんな団体がExcelの資格試験を実施しています。ニーズが高いということは・・・がっぽり受験料が稼げるということです。主催者によって試験の内容やレベルが違います。したがって履歴書の資格欄には「主催者名と資格試験名」を書きます。
何種類かあるExcelの資格試験のなかで、Excelの開発元であるマイクロソフト認定の試験は「MOS試験」と呼ばれ、多くの企業や教育機関で取得が推奨されている認知度の高い国際資格です。
原則として「MOS」を受けていれば間違いないと思います。しかし、「MOS」にはデメリットがあるため、それを知ったうえで、MOSに挑戦しましょう！
２．MOSとは何か？
MOSはモスと読みますが、日本でモスといえば、MOS試験かモスバーガーです。資格試験のほうのMOSは、Microsoft Office Specialist（マイクロソフト オフィススペシャリスト）の略称です。
年齢・国籍を問わず誰でも受験できます（ただし、試験当日に小学生以下の場合は保護者の同意が必要）。
試験科目によって、MOS Word、MOS Excel、MOS Access・・・などといい、MOS Excelだけを単独で受験することもできます。そして、Excel単独で合格証書がもらえて、Excel単独で履歴書に書けます。
マイクロソフト公式
https://www.microsoft.com/ja-jp/learning/mos-certification.aspx
３．MOS Excel一般レベルについて
（１）試験会場
全国47都道府県のパソコン教室や専門学校で受けられます。
「エリア試験数（ ）位」または「全ての試験を実施」の試験会場がおすすめです。
試験会場を探す｜MOS公式サイト
http://mos.odyssey-com.co.jp/exam/location.html
（２）試験日時
試験日は「随時試験」といって、それぞれの試験会場が、試験室・試験監督者のあいている時間に試験をするという形式です。会場によって日時が異なりますので、上記のサイトで調べるか、電話をかけて確認した方が良いです。
（３）申込から合格までのざっくりとした流れ
- 事前に試験会場（パソコン教室の受付）に行って「MOS（モス）のエクセルを受けたい」と言えば申込用紙を出してくれるので、書いて受験料を払えば申込完了。（ネットで予約を受け付ける会場もあります）
- 当日、試験会場に行ったら入り口で所持品を預けます。座席にパソコンがあって、画面上に問題が表示されるので、指示に従って50分間操作して答えます。
- 終了したら途中退出もできますが、トイレ休憩は不可です。
- すべての問題が終わったら、自動採点によって画面上に合格か不合格かがすぐに表示されるというシステムです。
- 正式な合格証書は後日自宅に郵送されます。
（４）試験時間
コンピュータを使った実技試験（CBT）５０分。
ただし、初めて受験する場合は、受験者の登録や諸注意などがあるので１時間以上はかかります。時間に余裕があるときに受けたほうがいいです。
（５）難易度
難易度や試験の特徴をまとめると次のとおりです。
- 2階級ある
Excel一般レベル（スペシャリストレベル）とExcel上級レベル（エキスパートレベル）の2階級ありますが、一般の人や人事の人は、２つの違いがあまり分かっていないので一般レベルを持っていれば問題ないです。上級レベルを受けるくらいならExcelマクロの試験に挑戦したほうがいいと思います。また、MOS一般レベルに合格すれば、ほかの団体が主催するExcelの試験を受ける必要はないです。 - ほとんどの人が合格する
受験対策本（後述）が理解できていれば落ちる人はほとんどいません。落ちるような人は、勉強の仕方や心構えが間違っています。 - 準2級？
試験の難易度は一般のExcel検定の2級と3級の間くらい。普段使わないような機能も問われるので、MOS一般レベルに合格していれば3級レベル相当のスキルと考えていいでしょう。
（６）Excel一般レベルの出題範囲と関数について
一般レベルの出題範囲と関数は別の記事でまとめています。
（７）受験料
受験料が高いです。Excelだけで１万円、WordとExcelで２万円です。学生は学割が使えるうちに受けておいた方がいいです。一発合格の自信が無かったら受けてはいけませんが、たいていの人は一発で合格します。
- 一般価格 10,584円（9,800円＋消費税8％）
- 学割価格 8,424円（7,800円＋消費税8％）受験当日に学生証を提示する
企業や学校での受験者が10名以上の場合は、団体受験として一括で試験の申込ができます。また、試験会場登録をした学校法人は、学生だけでなく教職の方も受験料割引の対象となります。
（８）受験者ID
はじめてMOSを受験する人は、事前に「受験者ID」の登録が必要です。簡単に言えば、無料会員登録です。当日、試験会場でもIDとパスワードを入力してログインします。
受験者ID登録・デジタル認定証| オデッセイ コミュニケーションズ
http://www.odyssey-com.co.jp/id/
（９）過去問
残念ながら、本番の試験問題は公表されていません。それは、コンピュータを使った実技試験（CBT）は大量の問題のなかからコンピュータがランダムに選んで出題するからです。受験者ごとに問題が異なるので公表は不可能です。そのため、一般の資格試験のような過去問題集はありません。
４．デメリット＝お金の問題
MOS試験の最大のデメリットは、とにかくお金がかかることです。簿記の試験とはケタが違います。受験料＋対策本＋テキストで数万円かかります。WordとExcelを両方取得するのは相当の覚悟が必要です。
パソコン教室に通わないとできないとか、講師が横についていないと自信がないとか、そもそもパソコンに自信がないという人にはおすすめしません。いくらお金があっても受からないです。
職業訓練であまりMOSをすすめないのは、落ちたときに高い受験料が返ってこないからです。逆に、大学（特に私大）でMOSをすすめるのは、就職に有利だからと親がお金を出す家庭が多いからです。
お金の問題はありますが、MOSと運転免許は最も取得しやすい資格なので、履歴書に書けるような資格を持っていない人は、頑張って取得したほうがいいと思います。
５．おすすめ受験対策本（緑本）
前述のように過去問題集はありません。ではどのように勉強すればよいか・・・
受験対策本は「FOM一択」です。FOM出版の対策問題集については別の記事で詳しく解説しているので、こちらの記事をご覧ください。
FOM出版「よくわかるマスター MOS Excel 365&2019 対策テキスト＆問題集」
FOM出版「よくわかるマスター MOS Excel 2016 対策テキスト&問題集」
FOM一冊では不安だという人は日経BPの攻略問題集もやれば完璧です。これ以上何も買わなくてもよいです。
６．レベル別勉強方法と合格までの日数
（１）第１段階：パソコンを知る
パソコンが電気製品であることを知らない人、電源のつけ方が分からない人、文字入力ができない人は誰かに習ってください。教える人がうまく教えれば、５～１０時間程度で習得できます。
（２）第２段階：Excelを学ぶ
Excelを使ったことがない初心者は、Excelの初歩のテキストを買って独学するか、友人にExcelの基本レベルを習うか、大学などの講義で基本的なことを習う必要があります。この段階で、Excelでエラーが出たり、思い通りに動かなかったりした時にどのように対処すればよいかを身につけます。
これは資格試験に受かるための勉強ではなく、Excelというソフトがどういうものかを知る勉強です。
初めてExcelを勉強する場合は、資格試験とは関係なく、基本となるテキスト（基本書）を1冊持っておいた方が良いです。さらに、YoutubeにアップされているExcelの初心者用の動画（わえなび以外の動画）を見ることもおすすめします。
なんとなく習得するのに１か月くらい（30時間程度）かかります。無理に全部習得しようと思わなくても、なんとなく理解すればよいです。
（３）第３段階：独学で頑張る
Excelを一通り勉強した人は、FOMを買って独学で勉強しましょう。
テキストの手順を見ながら、他人に頼らず、できるだけ自分の力でExcelを動かすようにします。FOM緑本のテキストの部分を１～２周して、最後に模擬試験問題がありますから２～３回繰り返せばよいです。これで合格です。慣れている人は１週間、遅くとも１か月練習すれば合格できます。
（４）「MOS対策講座」は受ける価値なし！
Excelの基礎をしっかりと勉強していれば、FOM１冊で間違いなく合格できます（不安であれば技術評論社か日経BP社の攻略問題集を買えば完璧です）。合格できなかったらMOS対策ではなく基礎の勉強が足りないということです。
パソコン教室や通信教育で「MOS対策講座」とか「合格保証講座」とかいう名称で高額な講座をやっていますが、受講する必要はありません（時間とお金の無駄です）。こんな講座を受けて合格してもまったく価値は無いです。
それは、Excelは一人で勉強できなければ資格を取っても意味がないからです。いちいちパソコン教室に通って「ここをクリックして～」などと教わらないと合格できないような人は、仮に合格しても仕事では使えません（あなたが恥をかくだけです）。MOSを履歴書に書くのであれば、他人に頼らずに自信をもってExcelが使えるよう練習すべきです。
７．履歴書の記載方法
（１）試験名
次の3つのかき方のうちのどれでも良いです。英語、カタカナ、略称のいずれかで良いと試験運営会社が言っているので間違いないです。
- Microsoft Office Specialist Excel 2016 合格
- マイクロソフト オフィス スペシャリスト Excel 2016 取得
- MOS Excel 2016 合格
（２）主催者
主催者を書く必要があれば「マイクロソフト」と書きますが、一般的な履歴書の場合、試験名に「マイクロソフト」が含まれているので、わざわざ書く必要はないです。
（３）取得日
資格の取得日は合格証書に書いてある日付を書きます。合格証書が自宅に届いていなくても、合格したことは証明できる（試験会場で採点結果をプリントアウトしたものがもらえる）ので受験した日を書けばよいです。
（４）試験運営会社
株式会社オデッセイコミュニケーションズ
オデッセイは日本人が経営する日本の企業ですが、日本国内でMOS試験を実施する業務を、アメリカのマイクロソフトに委託されている会社なので履歴書に書く必要はありません。
８．MOS Excel一般レベル練習問題
- MOS Excel 2016スペシャリストの勉強で最初に学習すべきことは何か？
- MOS Excelスペシャリスト練習問題「ワークシートやブックの作成と管理」
- MOS一般（スペシャリスト）のExcel関数の練習問題これができたら合格レベル！
- MOS試験対策Excel一般レベル「グラフやオブジェクトの作成」練習問題
- 【MOS Excel検定対策】条件付き書式の設定とスパークラインの練習問題
- MOS Excel2016で初心者が理解しにくい、難易度の高い問題例と学習上の注意点
９．求人票の「2級」や「中級」は信用するな
求人票や採用情報には、採用条件として、Excel2級レベル、3級レベルなどと書いてあるものがありますが、このような記載をしている会社の担当者は多分Excelの検定のレベルがあまり分かっていない（MOSを知らない）ので、「2級」と書いてあっても気にする必要はありません。
前述のとおり、主催者によって試験のレベルが異なるので、本当に2級レベルのスキルが必要なのであれば、階級ではなく、「Excel（ピボット、集計、VLOOKUP）」「Excelによる分析」などと必要なスキルを具体的に記載するはずです。
このような会社の場合、3級でも2級でもExcelが使えることがアピールできればどちらでもいいです。また、MOSは一般レベルで十分です。履歴書に「Specialist」と書いてあればExcelが使えることは伝わります。
確かに、MOSで問われる内容では足りないところもありますが、それは資格試験ではなく、試験に合格した後で個別に機能を覚えればよいことです。
事務職や公務員で2級レベルを完全に習得できている人なんていません。
10．就職に有利か？役に立つのか？という愚問
最後に、MOSに合格する意味について簡単に述べます。
世の中にはMOSが就職に有利とか、事務職に必要ですよ～などと宣伝する人がいますが、MOSに受かったくらいで仕事ができたら苦労はしません。さきほども述べましたがMOSは誰でも受かります。そもそも資格の勉強とは自己研鑽であり、有利か不利かで資格を取るような人は資格を有効に活かすことはできません。
Excelを知っていることを第三者に証明してもらうという意味では有効であり、もちろん履歴書に書いてアピールすることもできます。しかし、Excelを用いて仕事ができるかどうか（集計したり、分析したり、仕事を効率化して残業をなくしたり・・・）という能力をMOSで測ることはできません。Excelができても算数ができなければ意味がありません。つまり、MOSは仕事をするための武器の1つにすぎないのです。
MOSに合格するのは当然として、さらに、それ以外にどのような武器（資格）を手に入れるかが大事です。
11．あれっ？宣伝はしないのか？
はっきり言います！
当サイト「わえなび」で解説していることはMOS試験にはいっさい出題されません。MOSに最短で合格したいのであれば「わえなび」の動画は見なくてもいいです。
しかし、資格試験の勉強をしても、基本的な機能を指示通りに操作するだけであって、応用力が身につくことはありません。「わえなび」は一度Excelを勉強した人が、もっと素早く、もっと賢くExcelを使うための応用力を身につける問題集です。
MOS試験に合格した後で「わえなび」の動画をゆっくりとご覧ください（宣伝）。
12．MOS合格祈願！！
最後に、本番で実力が発揮できるように神頼みをしておけば完璧です。
