VBAの資格試験といえばオデッセイコミュニケーションズ主催の「VBAエキスパート試験」が最も有名ですが、ExcelとAccessの試験があります。それぞれベーシック試験とスタンダード試験の2つの階級がありますが、いずれも独学で合格することが可能です。このブログ記事を書いているわえなび管理人もすべて独学・一発で合格しているので間違いありません。
ところで、普段から実務でマクロを使っていて、十分な実力があるからといって勉強もせずに試験を受けるのは無謀です。自分が使わない機能も出題されることがあるのです。資格試験に合格するには、基本知識のほかに「受験テクニック」が必要で、公式テキストが販売されているのであれば当然購入したほうが早く合格でき、結果として投資が少なくて済みます。
そこで、(オデッセイの回し者ではありませんが)VBAエキスパート公式対策テキストについて紹介します。
目次
- 1.VBAエキスパートの概要
- 2.VBAエキスパートは独学で合格せよ!
- 3.合格対策の本と入門書は違います!!
- 4.公式テキスト・リニューアル試験対応版
- 5.公式テキストで勉強する方法
- 6.Amazonのレビューについての注意点
- 7.Accessの対策テキスト
- 8.さいごに
1.VBAエキスパートの概要
VBAエキスパート試験の概要についてはこちらの記事をご覧ください。
2.VBAエキスパートは独学で合格せよ!
(1)受験者全体の約7割が「独学」という事実
試験時を実施しているオデッセイコミュニケーションズ社の調べによると、VBAエキスパート試験を受験した人全体の約69%が独学で、PC教室で学習した人はわずか15%だそうです(2009年3月~2010年9月末の受験者データから集計)。昔とは異なり、最近では書籍・Webサイト・動画などの教材も多く、わざわざパソコン教室に通う必要はありません。独学で合格することに意味があるのです。
試験に関するデータ(公式サイト)
https://vbae.odyssey-com.co.jp/about/data.html
(2)マクロは自分で調べるものです
合格した後は、作業を効率化するマクロを自分で作ることになると思いますが、プロでも一発で完ぺきなプログラムを作れる人はいません。間違いがないかを自分で検証して、マイクロソフトの公式サイトを見ながら間違っている部分を自分で直さなければなりません。分からないことがあったら、自分で調べて自分で解決しなければならないことが多いです。独学で合格しなければ、マクロで仕事をすることができないのです。
3.合格対策の本と入門書は違います!!
初心者のなかには「資格の本で基本が身につく」などと勘違いしている人がいるようですが、入門書と資格の本は全く違います。
マクロをはじめて勉強する人がいきなり公式テキストで勉強してはいけません。絶対に失敗します(書いてある内容が全く理解できないと思います)。公式テキストと言うのは基本の知識を整理するために読むのであって、一から基本を身につけるものではありません(後述)。
マクロを全くやったことのない人は、図解の多い入門書を一冊購入して、ひととおり簡単なマクロを打って動かしてみましょう。完ぺきに理解する必要はありません。IF文と変数とループがなんとなく分かればOKです。
マクロの最初の部分についてはYoutubeの動画解説を用意しています。是非ご覧ください。
4.公式テキスト・リニューアル試験対応版
ひととおりマクロが動かせるようになったら、公式テキストで勉強します。この公式テキストは試験の主催者であるオデッセイコミュニケーションズ社から出版されているもので、試験対策の本としては完璧な内容です!!このなかから出題されますから早く合格したいのであれば購入したほうが良いです。
なお、VBAエキスパート試験は2019年5月に出題範囲の変更がありました。これにともなってテキストも新しいもの(リニューアル試験対応版)になりました。表紙が変わっていますのでご注意ください。
■VBAエキスパート公式テキスト Excel VBA ベーシック(リニューアル試験対応)
リニューアル版は、「デバッグの基礎」が無くなって「最終セルの特定」が追加されました。
- 第1章 マクロとVBAの概念
(用語と概念・ブックとマクロの関係・マクロとセキュリティ) - 第2章 マクロ記録
(マクロ記録とは・[マクロの記録]ダイアログボックスの設定項目・個人用マクロブック) - 第3章 モジュールとプロシージャ
(モジュールとは・プロシージャとは) - 第4章 VBAの構文
(オブジェクト式・ステートメント・関数・演算子) - 第5章 変数と定数
(変数とは・変数を宣言する・変数に代入する・変数の名前・変数の適用範囲・定数とは) - 第6章 セルの操作
(セルを操作する・Valueプロパティ・セルの様子を表すプロパティ・別のセルを表すプロパティ・セルを表すその他の単語・セルのメソッド・複数セル(セル範囲)の指定・行や列の指定) - 第7章 ステートメント
(For Nextステートメント・Ifステートメント・Withステートメント) - 第8章 関数
(日付や時刻を操作する関数・文字列を操作する関数・数値を操作する関数・データの種類を判定する関数・文字列の入出力に関する関数) - 第9章 シートとブックの操作
(シートの操作・ブックの操作) - 第10章 マクロの実行
(VBEから実行する・Excelから実行する・クイックアクセスツールバー(QAT)から実行する・ボタンや図形から実行する) - 終章 マクロを作るときの考え方
(マクロで行う2種類の操作・マクロを構成する3つの要素・マクロを作るのではなく3要素を作る)
■VBAエキスパート公式テキスト Excel VBA スタンダード(リニューアル試験対応)
リニューアル版は、第5章~第8章の全部と、第2、4、9章の一部が追加されました。
- 序章 マクロが作れるようになるには
(技術を使うために必要な考え方) - 第1章 プロシージャ
(他のプロシージャを呼び出す・Functionプロシージャ・引数を渡す・引数を使わないで値を共有する) - 第2章 変数
(配列・動的配列・オブジェクト変数・変数の演算・文字列を結合する) - 第3章 ステートメント
(Exitステートメント・Select Caseステートメント・Do Loopステートメント・For Each Nextステートメント・Ifステートメント) - 第4章 ファイルの操作
(ブックを開く・ブックを保存する・ファイルをコピーする・フォルダを操作する) - 第5章 ワークシート関数
(WorksheetFunctionの使い方・いろいろな関数) - 第6章 セルの検索とオートフィルターの操作
(セルの検索・検索結果の操作・オートフィルターの操作) - 第7章 データの並べ替え
(Excel2007以降の並べ替え・Excel2003までの並べ替え) - 第8章 テーブルの操作
(テーブルを特定する・テーブルの部位を特定する・構造化参照を使って特定する・特定のデータを操作する・行を削除する・列を挿入する) - 第9章 エラー対策
(エラーの種類・エラーへの対応・データのクレンジング) - 第10章 デバッグ
(デバッグ・イミディエイトウィンドウ・マクロを一時停止する・ステップ実行・デバッグでよく使う関数)
5.公式テキストで勉強する方法
(1)勉強方法について
VBAエキスパート試験公式テキストの著者は、「Excel VBA逆引き辞典パーフェクト」の著者であり、Office TANAKAでおなじみの田中亨(とおる)先生です。このテキストは本試験の出題範囲に完全に準拠しています。
公式テキストは試験範囲の内容を整理して淡々と説明しているだけなので、面白いことが書いてあるわけでもなく、コードがすらすら書けるようになるわけでもありません。
いったんVBAの入門書や演習書で自分でコードを実行してみてから、公式テキストで知識の整理をしたほうが良いです。試験対策としては、公式テキストだけで十分合格レベルに到達することができます。
- マクロを実行したことが無い人はマクロを作ってみる
- 公式テキストのうち、すでに習得した内容は流して読む程度で、他のテキストに載っていない内容を重点的に暗記する
- 模擬問題を解く
(2)模擬問題
まずは、公式テキストの練習問題やコードを2~3回練習します。さらに、模擬問題が付いています(パソコンでダウンロードする)ので、模擬問題がほぼ完ぺきに答えられたら合格できます。
6.Amazonのレビューについての注意点
リニューアル版は発売されたばかりですのでレビューが少ないですが、リニューアル前の旧版にはレビューがたくさんついています。個人の感想なので何をかいても自由なのですが、不見識なレビューがいくつかありますので騙されないように気を付けなければなりません。
(1)初心者が何も分からずに買っている
そもそも、合格できない人間が田中先生の本に対して、偉そうにレビューを書くのはいかがなものかと思いますが・・・
それはさておき、「マクロを勉強しようとしたけど書いてあることが難しい」といったレビューがいくつかあります。当たり前です。他の資格とは異なり、マクロの入門書と資格の本は全く別物です。マクロが分からない人が公式テキストを買っても分かるわけがありません。
前述のとおり、入門書を買って、最低でもIF文と変数とループを1度書いたほうが良いです。
(2)分かりやすい
試験対策の本としては、公式テキストを超える本はありません。
レビューの中には「分かりやすい」という意見と「分かりにくい」という意見があります。「分かりやすい」と言うのは、入門書で何となく書いたコードについて丁寧に解説されていて、知識を整理するうえで分かりやすいという意味です。他の教科書に比べて分かりやすいという意味ではありません。
マクロを習得するだけであれば、もっと分かりやすい教科書はあります。
一方、分かりにくいというレビューは一から丁寧に基礎を解説してほしいという意味だと思われますが、公式テキストにそのようなことを求めるのは間違いであり、下手な受験勉強をしています。いつまでたっても合格できないと思われます。
(3)この本だけで合格できた
「公式テキストだけで1週間で合格できる」といった自慢のレビューがありますが、ウソです。公式テキストで合格できるのは経験者だけです。マクロの経験のある人は、不足している知識を公式テキストで暗記すれば合格できます。
初心者がいきなり公式テキストを買っても最初の第1章で挫折すると思います。
7.Accessの対策テキスト
Accessの試験も2019年5月にリニューアルされましたが、公式テキストのリニューアル版がまだ発売されていません。
- Access VBA ベーシック 2019年秋頃発売予定
- Access VBA スタンダード 2019年冬頃発売予定
現在発売されているのはリニューアルされる前のものですが、Accessについては出題範囲の追加はありませんので、現行の公式テキストで学習することが可能です。
8.さいごに
VBAエキスパート試験公式テキストは、VBAのスキルの標準を示しています。どこまでが基本レベルで、どこまで理解できたら標準的なレベルなのかを整理して解説したものです。いわば取扱説明書のようなものです。著者の田中先生はExcelのセミナー講師の第一人者ですから、特に初心者の皆さんはありがたく拝読させていただきましょう。
VBAエキスパート試験を受験される方の合格を心よりお祈り申し上げます!!
解説は以上です。この記事は検定試験の合格を保証するものではありません。また、コメントは個人の感想であり、効果効能を保証するものではありません。