デザイン素人がWordやExcelでプレゼン資料や社内文書を作るとどうしても素人っぽいデザインになってしまいます。かく言う当サイトのわえなび管理人もデザイン素人なので日々勉強しているところです。
資料作成に関する本はたくさん出版されていますが、やはり、正しいデザインの理論はプロのデザイナーに学ぶべきです。そこで、資料作成で困ったときに本当に助けてくれるデザインの解説書を「ベストナイン形式」で選出してみました。
特に3番~6番の強力打線は必携の4冊だと思います。なお、異論は認めません!!
目次
はじめに:専門書は対象外とします
一般の社会人や学生がWordやExcelで文書を作成するときの参考になりそうな本を、独断と偏見で厳選しました。当サイトはWord/Excelの解説ブログなので次のような書籍は対象外とさせていただきました。
- PowerPointの操作方法の説明をメインとするもの
- Illustrator、Photoshop、色彩の専門書
- テンプレート集や素材集
また、コンサル、自己啓発、ビジネス本の類は個人的にあまり好きではないのですべて除外とさせていただきます。
なお、WordやExcelのスキルのない人はデザイン改善本に手を出してはいけません。
素人向けのデザインの解説書は、プロのデザイナーがデザインの理論を説明しているので、WordやExcelの操作方法が一切載っていません。
デザインを改善する前に、基本をしっかりと学んだほうが良いです。
それでは、「Word・Excelのデザイン改善に役立つ解説本」チームの、スターティングメンバーを発表いたします。
1番(右)エクセルは見た目が9割
エクセルは見た目が9割(秀和システム)
トップバッターは勢いが大事ということで、タイトルがネタっぽい本書を選出。
胡散臭いタイトルですが中身はまともなことが書いてあります。初心者がExcelで資料を作るときの基本的な注意事項が約100項目載っています。仕事で自慢げにExcelを使っていてもこのような基本的なことができていない人が多いのです。後半の図形編とグラフ編は参考になりますが、前半の表作成と計算書はあまり良い作例ではないのでマネしないほうがいいと思います。さらに、詳しくレイアウトデザインを学びたい場合は上位打線の本をおすすめします。
2番(ニ)けっきょく、よはく。
けっきょく、よはく。余白を活かしたデザインレイアウトの本。(ソシム)
最近は、すっきりとしたデザイン、洗練されたシャレオツなデザインが好まれます。スタイリッシュなデザインの制作物に共通するのは、「情報が整理され、余白に緊張感がある」ということです。当サイトでもWord=余白、レイアウト=余白だぁ!!と何度も述べていますが、結局のところ余白を制する者がレイアウトを制するのです。「美白」が大事なのです。余白を大きくとった、洗練されたデザインはインパクトがなく販促には物足りない感じがしますが、インパクトが必要な広告であっても余白に緊張感を持たせることの重要性は変わりません。
白い部分があったらもったいない症候群の人には、ぜひ、この本で余白デザインの重要性を学んでいただきたいです。
3番(左)伝わるデザインの基本
伝わるデザインの基本/増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール(技術評論社)
Wordの資料や掲示物、PowerPointのスライドデザインを改善するときに最初に読むべき一冊です。そのままビジネスで使えるというわけではなく、WordやPowerPointで資料を作るときのレイアウトデザインの基礎理論を学ぶための教科書です。Officeでデザインするときの法則を理論的に解説しており、間違った例と正しい例の比較がたくさん載っています。ものすごく分量が多くおなかいっぱいになります。フォントの使い方や図表の作り方、レイアウトを改善することで、見やすく、伝わりやすい資料に生まれ変わります。
初版本が好評だったため、さらに「増補改訂版」として増刷。表紙もゴールドになってパワーアップ(初版本はブルーだった)。図版の作り方や実践例が追加されました。
4番(一)ノンデザイナーズ・デザインブック
ノンデザイナーズ・デザインブック第4版(マイナビ)
主砲の4番バッターは超定番です。第4版、累計50刷を超えるロングセラーで、デザイン素人向けの本の中では最高レベル・最高難度の書籍と言えます。Robin Williams博士の著書を日本語に翻訳し、さらに国内のデザイナーが日本語の図版サンプルを追加した翻訳書です。
使用するソフトに関係なく、一般のデザイン素人が「プロっぽく」見栄え良くデザインするための理論と実践例を紹介しています。デザイン(認知心理学)の4大原則の説明に始まり、カラーの組み合わせ、欧文タイポグラフィなど・・・本気で勉強したい人向けのバイブルです。名刺やチラシ、はがき、パンフレットなどの作例も豊富です。練習問題の「デザイナーの目を鍛える」と章末問題の「Little Quiz」は素人にとっては鬼のような超難問です。
5番(遊)伝わるビジネス文書デザインの教科書
伝わるビジネス文書デザインの教科書 PowerPoint/Excel/Word対応(ソシム)
表紙だけを見ると外資系コンサルが書いたような役に立たないビジネス本のように見えますが、中身は本格的な「デザインの教科書」です。著者の矢島隆氏は美大出身のデザイナーで、さらにパソコン関連書籍のソシムから出版されていることもあって、ビジネス文書作成の書籍のなかでは非常に良い内容で正直驚きました(この本が評価されないのはタイトルのせい?)。
ビジネス文書(ドキュメント)の表組み、グラフ、チャート、ピクチャー、カラーリング、レイアウトに分けて、デザインのセオリーを解説しています。PowerPointの作り方を中心に、WordやExcelの改善方法にも触れています。個人的には最初の「ビジュアル化」のセクションが好きです(※個人の感想です)。
6番(三)やってはいけないデザイン
やってはいけないデザイン(翔泳社)
ワードアートをフルボッコしたことで(?)一躍有名となった「やってはいけないデザイン」は、当サイトでも大いに参考にさせていただきました。豊富な指導経験を持つプロデザイナーの平本久美子氏が、初心者がやってしまいがちな失敗例とその改善方法を教えてくれるデザイン入門書です。この本に掲載されている正しい作例はWordやExcelなどで作成可能です。本全体がやさしいデザインなので大変読みやすいです。
Twitterで話題となったワードアートについては「安上がりな印象を与えてしまい、あまりいいイメージは残せません」と批判しながら、正しいデザイン例を紹介しています。ワードアート自体を否定しているのではなく「ワードアートも使い方次第だ」ということを述べたかったのだろうと思います。
7番(捕)見やすい資料の一生使えるデザイン入門
見やすい資料の一生使えるデザイン入門 プレゼン資料が劇的改善(インプレス)
「SlideShare」で人気のあったスライド「見やすいプレゼン資料の作り方」をベースに書籍化された資料作成ノウハウ本。PowerPointのスライドの解説が中心ですが、図表の作り方や文字の色づかいなど、WordやExcelでも使えるテクニックが載っています。A4用紙1枚で文書を作成する方法やポスターを作成する方法が最後の10ページくらいで紹介されていて、WordやExcelでも応用できることが示されています。
なお、異なる著者の姉妹本「プレゼン上手の一生使える資料作成入門」もありますが、どちらかと言えば「デザイン入門」のほうがおすすめです。
8番(中)なるほどデザイン
なるほどデザイン 目で見て楽しむデザインの本。(MdN)
デザイン関連の出版社としておなじみの「MdN」の本は、中身を見ているだけで右脳も左脳も刺激されます。目で見て楽しむデザインというサブタイトルの通り、理屈を抜きにして、視覚で感じる絵本のような解説書です。
さすがプロのデザイナーが執筆しただけのことはあって、素人には簡単にマネできそうにないハイレベルな作例が多いですが、資料のデザインに行き詰ったときに読むと改善のヒントが得られます。何らかの理論を説明したものではなく、また、ビジネスのテンプレートや操作方法が載っているわけではないので、即効性のある本ではありませんが、デザイナーの目線でどのような基準でデザインの良し悪しを判断しているのかを具体的に分かりやすく述べています。まさにMdNらしい一冊です。
9番(先発投手)パソコンで描く絵の描き方
パソコンで描く「絵」の描き方
大トリは「Excel界のミケランジェロ」こと老師・堀内辰男大先生が満を持してご登場です!!
堀内先生は、Excelのオートシェイプで描いたとは思えない見事な絵画を発表して、世界中から称賛を浴びたエクセルおじいちゃんです。2019年5月に発売された本書では、先生が普段制作に使用しているWindowsXP、Excel2003の画面を使って解説しています。解説の図も文章も、先生の執筆された原稿を加工せずにそのまま載せたのが非常に良いです。
Wordで簡単なイラストを描くという内容の書籍はいくつかありますが、大御所の本は芸術性が違います。金屏風に光る風景画、水面に映る草花の表現技法など、先生が5年以上に及ぶ研究の末に開発した独自の描画手法を惜しげもなく披露しています。数々の賞を受賞した絵画作品もふんだんに収録されており、デザインの枠を超えて芸術の道を教えてくれます。単なるExcel文書がアート作品になること間違いなし!
さいごに:随時更新します
デザイン関連の本は表紙と装丁、中身をパラパラと見ているだけでデザインセンスの高さを感じます。このベストナインを上回るデザイン本が登場することは当分ないと思いますが、良い本が見つかったら更新していきます。