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事務職を志望する人が履歴書をWordで作成するときの技術的な注意点【就職活動・転職活動】


就職・転職支援の大手の企業が、人事担当者を対象として実施した各種のアンケートによると、人事担当者のなかには手書きの履歴書を高く評価する人もいれば、パソコンで作った履歴書を高く評価する人もいるようです。いずれにしても、担当者の好みの問題なのでいちいち気にしていたらキリがありません。

しかし、最近、ハローワークや就職指導のプロの人たちの間では「履歴書は手書きでもパソコンでもどちらでもよい」という見解でほぼ統一されているようです。

履歴書の一般的な作り方については大手の転職サイトに任せることにして、当サイトはWordを解説するブログなので、特に事務職を志望する人が履歴書をWordで作成するときの基礎知識を解説したいと思います。

 

 

目次

1.まず、事務職志望なら書類のルールを知るべし!

(1)JIS規格履歴書とは何か

履歴書は、Wordで適当に作ればいいというわけではありません。

履歴書の形式は、工業標準化法という法律に基づいて正式に定められた標準規格「日本工業規格JIS Z 8303」にしたがって作成する決まりとなっています。簡単に言えば、全国統一の形式が決められているのです。これを「JIS規格履歴書」といい、市販の履歴書用紙もこの形式にしたがって作られています。

JIS Z 8303 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/JIS_Z_8303

 

(2)アレンジOK

しかし、JIS Z8303には「仮名は,平仮名を用いる。」「余白は,通常紙のへりから5mm以上とする。」などの基本的なルールが箇条書きで書いてあるだけで、履歴書の記入項目が具体的に定められているわけではありません

JIS Z8303は、目次、本編、附属書からなる計9ページの文書で一般的に公開されています。しかし実は、その後に、インターネットで閲覧することができない「解説」と呼ばれるページが付属されていて(※国立国会図書館や大規模な書店に行ったら見れるらしい)、日本規格協会が本編の解説として履歴書の例を載せているのです。市販されている履歴書用紙はこの例にならって作られているのですが、これはあくまで「」であって統一規格そのものではないので、従う義務もありません。

したがって、履歴書をWordで作る場合、記入欄を増やしたり、無くしたり、大きさを変えたり、多少アレンジするのは構いません。形を大きく変えなければ規格に違反することはありません。

 

2.ダウンロード

「履歴書 ダウンロード」で検索すると、各種転職サイトがWordの履歴書のひな形を配布しています。Word形式のA3版またはA4版が良いです。

ただし、ひな形をそのまま使ってはいけません。転職サイトの人は就職のプロであって、Wordのプロではないため、配布されているWord文書は完璧なものではありません。適宜、書式をきれいに整える必要があります。

また、取得した資格が多い、転職回数が多い、自己PRを強調したい等、人によってアピールしたい事柄が異なるため、自分に合わせて枠の大きさを変えるべきです。

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わえなび公式サイト[waenavi.jp]でも配布しています。

waenavi.jp

 

3.自署をおすすめします

欧米では、履歴書をパソコンで作って、自分の名前だけボールペンで署名するのが一般的です。日本では、自分の名前を手書きにしなければならないといった決まりはありませんが、当サイトでは欧米スタイルを推奨します

印鑑は不要です。どうしても印鑑を押したければ押してもかまいません。もし、印鑑を押すのであれば、まっすぐ完ぺきに認印を押して(シャチハタ不可)、乾いてから、氏名とふりがなを丁寧に書けば完璧だと思います。

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4.スペースの連打は不可

Wordのスキルがある人とスキルの無い人の決定的な違いは、余白の調整の仕方です。文字と文字の間の微調整の機能を知っているかを見ればすぐに分かります(参考:Wordを正しく使える人は文字間隔と余白の調整方法を理解している)。

Wordを使い慣れている人は、編集記号を表示してもほとんどスペース(空白文字)がありません。スペースを入力しなくても0.1mm単位で隙間を調節するスキルがあるからです。そして、出来上がった文書は、文字の位置のズレがありません。完全に縦が揃っています(参考:【Word】編集記号の重要性が分からない人にWordを使う資格はない)。

 

5.書式の統一

履歴書のようなビジネス文書で最も重要なことは書式の統一です。「書式の統一を知らない=Wordを知らない」と言っても過言ではありません。いくらWordの資格を取っていても正しく書式が使えなければ、初心者と同じです。

(1)明朝体

これはJIS規格履歴書の拡大図です。明朝体であることが分かると思います(事務職なら、明朝とゴシックの違いは知っておくべきです。これは明らかに明朝体です!!)

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それは、JISの規格JIS Z 8303で「文字の書体は,通常,明朝体とする。」(10.1-a)と定められているからです。したがって、枠に入力するフォントも当然「明朝体」です。それ以外はあり得ません。「MS 明朝」が良いと思いますが、「MS P明朝」「游明朝」でもかまいません。極太の明朝は不可です。

(2)フォントサイズ

文字のサイズはすべて統一します(通常は10.5pt~12pt)。ダウンロードしたテンプレートの通りに入力すれば間違いないと思います。

 

6.文字入力するだけでよい

(1)強調や装飾は不可

文字色は黒です。カラーは不可です。斜体、太字、蛍光ペン、色を付ける、塗りつぶし、下線、網掛け、囲み線、絵文字や記号、吹き出し・・・全部不可です。個人情報を入力する文書に、訳の分からない書式を設定するのは言語道断です。

技術的に説明をすると、履歴書のように記入欄に文字を入力する文書のことを一般に「フォーム(form)」といいますが、フォームは「データ」を文字情報として入力するだけであり、強調書式を設定してはいけません。データ処理や読み取りの妨げとなりますから絶対禁止です。

(2)図形や画像も不可

図形や画像を挿入してはいけません。原則として、証明写真や印鑑を画像データにして貼り付けてはいけません(ただし、データで提出する場合を除く)。

 

7.各項目の説明

(1)丸を付ける

性別や配偶者の有無の欄で、丸印を付けるときは、囲い文字を使います。

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文字のサイズに合わせる」にします。

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拡大するとこのようになります。

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(2)学歴・職歴欄

学歴欄や職歴欄の行数は自由に変えてよいです。行を増やしたり、減らしたりするときは、表ツールレイアウトタブのボタンを使います。

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(3)PR

研究テーマ、サークル活動、ボランティア、趣味特技、性格、好きな学科などを書く履歴書を見かけますが、自己PRをしたければ、別途、自己紹介書を作るべきです。 

 

8.PDFと印刷

名前を付けて保存をするときに、ファイルの種類をPDFにすることで、PDFで保存することができます。履歴書のデータの送付を求められたときは、基本的にPDFを送付します。

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印刷する場合、用紙の大きさはA3用紙の見開き1枚か、A4用紙2枚です。両面印刷は不可です。

通常のコピー用紙では薄すぎるので不可です。履歴書専用の用紙を使うか、光沢のない上質紙、マット紙またはスーパーファイン用紙で印刷します。自宅で印刷するときにはインクのかすれに注意し、印刷品質の設定を高めにして印刷します。

コンビニで文書を印刷できるサービスがありますが、店舗で上質紙の印刷に対応できるかは、店舗によって異なりますので事前に確認しておいたほうが良いです。

 

9.補足

(1)履歴書の取り扱いは慎重に

履歴書の用紙は、それ自体が書類選考の審査の対象ですから、折り目や汚れがついているのは、もってのほかです。作成した履歴書は、精密機械を触るかのような慎重さで、細心の注意を払うようにしなければなりません。

特に、事務職を志望する人は、書類を扱う仕事をしようとするのですから、正確に書類を管理することが求められます。

  • 指紋がつかないように写真を貼ること
  • A3用紙を半分にする場合は1ミリもずれることなく折り曲げること
  • 用紙の端や角が折れ曲がらないようにすること
  • 持ち歩くときは固いクリアファイルに入れること
  • 履歴書用紙の近くに菓子類やドリンクを置かないこと
  • 油脂や水分のついた手で触らないこと
  • 用紙を折り曲げずに入れられる封筒(角2など)を用意すること
  • 封筒に入れるときは透明なクリアファイルに入れること
  • 封筒に入れるときは書類の上下を逆にして入れないこと
  • 2枚以上の用紙がある時は完全に揃えること

(2)封筒のあて名は手書きにする

当サイトでは封筒印刷やラベル印刷の方法も解説していますが、応募書類を入れる封筒の宛て名は手書きのほうが印象が良いと思います。

 

(3)フォーマットとテンプレートの違い

履歴書の時に使うフォーマットformat、名詞)には、「形式」と「書式」の2つの意味があります。

そのうち、形式(file format)の意味のフォーマットは、日本語ではファイル形式、またはファイルの種類と訳されることが多いです。Word形式、PDF形式などの保存形式を指します。名前を付けて保存やファイルを開く画面にも「ファイルの種類」として表示されます。

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いっぽう、書式(formats of document)の意味のフォーマットは、日本語では様式とも言いますが、規則や慣習によって決められた文書の形のことです。前述のように日本の履歴書の形はほぼ統一されていますので、できるだけ崩さないように作成しなければなりません。

テンプレートはテンプレートファイル(template file)の略で、日本語で言うと原紙(げんし)またはひな形です。コピーして使いまわすことができる状態のファイルのことです。つまり、決められたフォーマットに従って作られたファイルがテンプレートです。

 

10.さいごに

インターネットに公開されているWordのテンプレートを取得して、それをWordで加工して、適切にプリントアウトして書類を管理するといった作業は、まさに「事務」の仕事です。フォーマットとルールに従って書類を作るという意識で、履歴書を作成すると良いと思います。

 


解説は以上です。


 

 


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