事務職の仕事がしたいと思っている人の中には「パソコンができなくても事務職になれる~」といった求人や口コミを見つけて、甘い言葉にダマされる人がいるようです。「あ~やっぱりWordやExcelなんてできなくても大丈夫よね~」とホッとひと安心といったところでしょうか・・・。パソコンが苦手な情報弱者であるがゆえに、こういった詐欺に引っかかってしまうのです。本当にひどい話です。
しかしながら、ダマされるほうにも相当の落ち度があります。
パソコンができない、できない・・・と言いながら、いま、スマホで必死になって事務職を探しているようですが、そんな態度でデスクワークの仕事ができるとでも思っているのでしょうか? もし、このページに書いてあることが信用できないのであれば、一生、死ぬまでダマされたら良いと思います。
そこで、今回は、楽な仕事をしようとしている皆さんにとっては耳の痛い話かもしれませんが、残念ながら事務職にはパソコンの知識が必要だということを詳しく解説します。
問題
なぜ最近の事務職はパソコンのスキルが求められるのか、3000字程度で論じなさい。
目次
- 1.楽だと思っている問題
- 2.求人票に書いてない問題
- 3.正社員の事務がだんだん専門的になっている問題
- 4.教えてもらえればいいと思っている問題
- 5.指導できるのか問題
- 6.事務職志望の女性が多すぎる問題
- 7.正直に言ってくれない問題
- 8.さいごに
1.楽だと思っている問題
昔の話ですが、事務職と言えば、営業成績やノルマが無く、上司からの指示を受けて定型的な仕事をすればいいし、空調がきいていて、ヒマな時間は同僚と雑談して、定時で帰るというのが当たり前でした。それは、WordやExcelが普及する前の時代(バブルが崩壊する前の時代)の話です。
- 資格や免許が無くてもできそう
- 長く続けられそう
- 出産育児をしながらでも出来そう
- 難しいことを考えなくてもよさそう
こんな考え方で求人を探している人は、デスクワークが「楽な仕事」だと思っているのではないでしょうか?一度、市区町村役場のデスクで働いている公務員の皆さんを見に行ったほうがいいと思います。
下の画像は、標準的な事務所のイメージ画像です(実際に販売されている事務デスクです)。1人に1台もしくは2台以上のパソコンが会社から貸与され、パソコンで社内文書を作り、パソコンでお金の計算をするのです。
もちろん社員だけでなく、社長室や役員室にもパソコンがあり、管理職の会議資料もパソコンで作ります。にもかかわらず、平社員やパートさんが目の前にあるパソコンの電源を付けずに、のんびりと過ごすことが許されるわけがありません。
2.求人票に書いてない問題
事務職募集の採用情報のなかには、必要なスキルとして、Word、Excelなどとはっきりと書いていないものがあります。業務内容にも「パソコンを使う」と書いていないので、パソコンができなくてもいいのかなぁ・・・と勘違いしてしまいます。
しかし、たいていの場合、入社してからパソコンを使うことを知らされます。採用情報に書いてなかったじゃないか!!!という言い訳は通用しません。
例えば、仕事ではボールペンや電卓を使うことがありますが、求人票に「ボールペンを使う」とか「電卓を使う」とか書く義務はありません。事務職募集と言えば、パソコンが必須条件であることは当然のことであり、わざわざ採用情報に書く義務もないのです。そんな常識も分からずに応募するほうが間違っているのです。
3.正社員の事務がだんだん専門的になっている問題
最近、事務的な作業はほとんど自動化され、会社全体で使うシステムを使って事務処理やデータ管理をすることが多くなりました。「庶務」の仕事を外部業者に委託することもあり、事務職の仕事がどんどん奪われています。今後、単純なオフィスワークはさらに減っていき、最終的には消えていくことが予想されています。
その代わりに、正社員の事務職の場合、スキルの高い事務が求められています。医療事務はパソコンでレセプト(診療報酬の明細書)を入力し、人事はシステムで給与計算をし、宣伝広報をするには販促資料を作らなければなりません。
- 人事事務
- 経理会計事務
- 商品企画調査事務
- 秘書
- 医療事務・介護事務・調剤薬局事務
- 法務事務
- コールセンター事務
- 宣伝広報事務・受付案内
- 営業販売支援事務
- インターネット通販管理
- 貿易事務
- 品質管理
さらに、中小企業の事務職は何でも屋さんなので、営業事務や経理事務などを兼務しなければいけません。パソコンが使えることは当たり前で、それ以上に高度な知識が求められているのです。(パートやアルバイトの場合はパソコンのみでOKです)
4.教えてもらえればいいと思っている問題
求人のなかには「40代以上の事務も活躍中」とか「先輩が丁寧に教えます」とか書いてあるものがあります。確かに、40代以上の事務が活躍している会社もあれば、先輩が丁寧に教えてくれる会社もあります。しかし、業務の流れを教えることはあっても、パソコンを丁寧に教えるパソコンの先生がいるわけではありません。パソコンの研修をするための人件費を会社が負担する義務もありません。
今どきパソコンが使えないのは努力不足以外の何物でもありません。
そんな努力不足の人たちに限って、「パソコンが分からなければ職場の同僚に教えてもらえばいい」「仕事ができなければパソコンの得意な人に手伝ってもらったらいい」と思っています。これはパソコンができるかどうかの問題ではなく、他人の負担を増やして給料をもらうという、れっきとした給料泥棒です。
入社できたとしてもすぐにクビになります。
5.指導できるのか問題
取引先とのやり取りもすべてメールであり、勤務時間のほとんどがパソコンの作業です。手書きが許されるのは、メモを取る、校正する、複写式の伝票を書く、販売促進のためのイラストやポップを作るといった、本当に手書きが必要な場合に限られます。
むしろ、手書きの仕事があったら、積極的にパソコンに切り替える業務改善をしなければなりません。下記の記事でも解説していますが、事務職として仕事をするということは、すなわち職場の中でパソコンを指導する立場になるということです。
6.事務職志望の女性が多すぎる問題
事務職も専門的になり難しくなっているにもかかわらず、簡単な仕事だと勘違いして、事務職を志望する人が多いです。一般事務職の倍率は約0.3~0.4倍、3人に1人しか採用されません。1人の採用枠に100人が応募することもあります。
その中で内定を勝ち取るのに、パソコンができたくらいでは採用されません。事務職になるのはそんなに簡単なことではないのです。
7.正直に言ってくれない問題
(1)甘い誘惑で上位表示を狙っている
初心者向けのサイトで、「WordやExcelができなくても平気!平気!超カンタンに事務職になる方法を教えますよ~!」などと初心者をダマすような文章を書くのは、インターネットで自分のホームページを少しでも多く表示させるためです。簡単に言えば露出を多くするためです。
これを専門用語で「検索エンジンの最適化(SEO)」といいますが、パソコンが苦手な人はスマホで「パソコンできない 事務」で検索して求人を探すのではないか?と行動パターンを予測して、あえてそういう詐欺的な記事を書き、初心者を取り込もうとしているのです。
はじめから、初心者を救う気は全く無いのです。
そして、中身を読んでみると「パソコンは必要なので、仕事に就いてから少しずつ覚えましょう」と書いてあって、がっかりするパターンです。初心者を安心させておいて、有料のパソコン教室に誘導する作戦なのです。
(2)ビジネスマナー
ビジネスでは面と向かって「無理」とか「不可能」とか「できない」などといった言葉を使ってはいけません。ハローワークの人や、就職をサポートする人たちもビジネスで支援をしているので断言する言葉は使いません。
- パソコンができないとなかなか難しいんじゃないですかねぇ~
- 苦手というのは面接であまり言わないほうが・・・
- 今の時代は厳しいと思いますよ・・・
相談を受ける人は「絶対不可能」だと分かっていても、ビジネスマナーとして厳しいことが言えないのです。それならば、ハッキリと言えない人たちの代わりに、ハッキリと申し上げます。
百歩譲っても200%無理です!
これ以上他人に迷惑をかけるな!
8.さいごに
パソコンの未経験者で本当に事務職を探しているのであれば、今すぐ役所に行ってパソコン市民講座や職業訓練の申し込みをしましょう。運転免許とMOSと日商簿記くらいは最低限必要だと思いますよ。