求人票で「Word・Excelの基本操作ができる」という応募条件が書いてあることがあります。
Wordには普段使わないような機能がたくさんあり、訳の分からない機能をたくさん知っていても何の役にも立ちません。割注(わりちゅう)やドロップキャップのような中級レベルの機能を知っている採用担当者はほとんどいないと思います。
それよりも必要最低限の機能でサクッと文書が作れることのほうが大事です。事務職志望でWordが使えないというのは問題外ですが、採用試験でそんなに高度な知識を要求されることはないと思います。そこで、基本的なレベルであるWord検定3級の問題に挑戦してみましょう。
目次
- 1.コンピュータサービス技能評価試験ワープロ3級
- 2.2019年度サンプル問題1改題その1
- 3.2019年度サンプル問題1改題その2
- 4.2019年度サンプル問題2改題
- 5.2019年度サンプル問題3改題その1
- 6.2019年度サンプル問題3改題その2
- 7.職能の問題集
1.コンピュータサービス技能評価試験ワープロ3級
中央職業能力開発協会が主催するコンピュータサービス技能評価試験は、おもに職業訓練校で実施される検定試験です。ワープロ3級は、3問で試験時間50分の実技試験です。第1問タイピング10分+第2問文書作成20分+第3問編集10分で、細かい部分の見直しが10分で、計50分という時間配分が良いのではないかと思います。
毎年、サンプル問題が作成されて一般に公開されています。この記事の執筆時点では2019年度のサンプル問題が公開されています。
試験問題概要・出題範囲 : 中央職業能力開発協会(JAVADA)
https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/sinsa_comp/shiken-mondai.html
漢字かな混じり350字の日本語が約10分で入力できることを想定しています。10分で350字というのは決して速いスピードではありませんが、事務で仕事をするには十分な入力速度ではないかと思われます。
2.2019年度サンプル問題1改題その1
問題
新規文書で1行の文字数を30文字に設定しなさい。
採点チェックポイント
Wordでページ設定を知らなかったら、その時点で失格です(参考:【Wordページ設定】用紙と文字数の設定方法とフォントの親子関係について)。
3.2019年度サンプル問題1改題その2
問題
1行あたり30文字で次の文章を入力しなさい。ただし、英数字やカッコはすべて全角文字とする。
解説
英単語は通常半角で入力しますが、ワープロ3級では全角文字の変換(F7とF9キー)が使えるかを確認するため、すべて全角文字で入力することになっています。本番の検定試験ではマウスを使っても構いませんが、採用試験としては、あえてマウスを使用禁止としても構いません。10~15分程度で入力できればOKです。
採点チェックポイント
速く入力することよりも、正しく入力できることのほうが大事です。各行の左端の文字と右端の文字を見て、見本と同じになっているかを確認します。
4.2019年度サンプル問題2改題
問題
次の処理条件にしたがってA4用紙1枚で入力しなさい。ただし、「職員」のあとに適切な敬称を入力しなさい。
- 余白を上下左右それぞれ25mmとし、1行の文字数を40文字に設定すること。
- 図のように、最終行の「以上」が1ページの設定行数(用紙の最終行)となるように行数を減らすこと。
- 英数字とカッコはすべて全角文字にすること。
- タイトルは14ポイントのMSゴシック体である。
解説
次の採点チェックポイントでも解説していますが、罫線の縦の線がどの部分を通っているか、左インデントが何文字か、完成図を見て分からなければなりません。
事務職に求められるスキルは、知識ではなく、細かいところに気が付くことです。縦の線を意識することはWordの最大のポイントであって、これが分からなければ「Wordが使える」とは言えません。
採点チェックポイント
次のようなことがあったら採点することなく失格です。
- ページ設定をしていない
- 最初、ベタ打ちをするときに左詰めで入力していない
- 敬称が分からない
- 「以上」のあとに改行があって、2ページ目に白紙がある
- 全角文字を半角で打っている
(1)マージン25mm、40文字のページ設定をしてから、ベタ打ちをします。すべて左詰めで入力します。ただし、セルの結合をしても構いません。
(2)右揃え2か所、中央揃え、14ポイントのゴシック体(太字ではない)
(3)囲み線、網掛け、中央揃え
(4)左インデント2文字(Ctrlキーで一括設定)
(5)各項目の均等割り付け5文字分(Ctrlキーで一括設定)
(6)11字程度のタブ位置で揃えていればOK(本番の検定試験では全角スペースを使ってもよい)。
(7)二重下線、斜体、表の塗りつぶし、太字
(8)第1表の左右端の縦線の位置は、上の文章と比較すれば分かるはずです。ちょうど漢字の真ん中を通っていることが分かります。3.5字と33.5字の場所にあればOK。ただし、左右プラスマイナス1字以内のずれであればセーフとする。
(9)第1表の幅がすべて揃っていること、横の線のうち一部が破線になっていること
なお、セルの結合をせず透明な罫線を使った場合は大変優秀なので加点とする。
(10)第2表の左右端の縦線の位置(4.5字と17.5字と30.5字の場所にあればOK。ただし、左右プラスマイナス1字以内のずれであればセーフとする)
(11)ページ設定の行数を減らして、「以上」を用紙の最終行にしなければならない。
5.2019年度サンプル問題3改題その1
問題
インターネットでJAVADA「試験問題概要・出題範囲」のページを探し、ワープロ部門3級の提供データを取得して、解凍しなさい。また、「提供3R」を開きなさい。
採点チェックポイント
本番の検定試験ではこのような問題は出題されませんが、ネットからZIPファイルをとってこれなかったら事務としては失格です。問題文の意味が理解できて、ネットで探して、ファイルを開くことができたらOKです。
6.2019年度サンプル問題3改題その2
問題
ファイル「提供3R」を開いて、完成イメージと比較して修正箇所をすべて見つけなさい。また、実際に修正しなさい。
<元の文書>
<完成イメージ>
解説
事務職なら校正ができて当たり前なので、ノーヒントで間違い探しをします。1行目から順に点検すればよいです。
採点チェックポイント
(1)文字を大きくして、白抜き文字にする
ちなみに、白抜き文字は、文字の輪郭を青色にしてから、フォントの色を白色にします。
(2)本文の訂正2か所
本文を修正したら、必ず左右の端の文字で確認します。
(3)行の削除と列の削除(選択してBackspaceキー)
(4)文字列の入れ替え(ドラッグの移動を2回するだけ)
(5)中央揃え
(6)行を上下入れ替える(日付が逆になっているので、順番が逆になっているのは明らか)
ちなみに、行の入れ替えは下の行を行選択(池下店の左側をクリック)して、選択されたグレーの範囲を「本町」の左側にドラッグして移動するだけです。
(7)セルの結合
(8)表の右端の縦の線の位置(37.5字の場所にあればOK。ただし、左右プラスマイナス1字以内のずれであればセーフとする)
(9)上付き文字の解除
(10)改行と、左インデント2字
ちなみに、「※問合わせ先~」の行の左インデントの設定が2字になっているので、それに合わせて左インデント2字でなければ不正解。
(11)修正(上にある店名をコピーする。ただし、スペースを消してはいけない)
7.職能の問題集
ちなみに、ワープロ部門の公式問題集はAmazonや楽天で購入できます。
ただし、受験をするならMOSのほうがいいと思います。