Excelで表示形式を設定することにより、単位を付けることも、単位を変えることも技術的には可能です。しかし、元の値がわからなくなるような表示形式の設定は、表計算ソフトの使い方として間違っています。
例えば、20万を20と表示する、1mを100cmと表示するといったことは、表示形式ではなく数式で換算するべきです。表示形式は文字を揃えて見た目を整えるために使用するべきであり、やむを得ない場合に限って限定的に使用するべきです。
そこで、今回は、表示形式で単位を付けたり変えたりするときの注意点について解説します。
目次
1.表示形式の注意点
(1)入力するときに混乱する
Excelのセルには値と書式の情報が別々に保存されています。セルに保存されている値は「Value」といい、数式バーに表示されます。これに対して、セルに表示されている文字列のことを「Text」といいます。
表示形式を設定すると、セルに保存されている値(Value)とセルに表示される文字(Text)が違うものになります。保存されている値が100万で、セルの表示が1000ということもあります(後述)。
このセルには1000分の1の値を表示する表示形式が設定されています。このセルに「250」と表示するためには「250000」と入力しなければなりません。
また、次の図は数式バーには250だけ表示されているのに、セルには「250円」と表示されています。このセルに「500円」と表示するには「500」と入力しなければなりません。
このように、入力するセルに表示形式を設定すると、入力したものと表示されるものが異なるため混乱します。このような使い方は無用なトラブルを招く恐れがあるためできるだけ控えるべきです。計算結果に対して表示形式を設定するのは構いません。
(2)計算できないから表示形式を変えるというのはいかがなものか
例えば、「100円」「200円」の足し算はできません。「300円」にはなりません。数字ではない文字は計算できないからです。
しかし、100+200=300の計算にそれぞれ「円」を付加する表示形式を設定することは可能です(後述)。このような使い方もExcelの使い方として間違いです。1つのセルの中に数値と単位が混在すること自体「1セル1情報の原則」に反します。つまり、根本的に表の作り方が間違っているということです。
入力する欄と出力する欄を分けて、正しくExcelを使えば、このような訳のわからない表示形式を設定することは絶対にありえません。
2.表示形式(ユーザー定義)の画面
右クリックをするか、[ホーム]タブ-[数値]グループの右下にある小さいボタンで、セルの書式設定(表示形式)の画面を開きます。
また、表示形式を「その他の表示形式」にする方法もあります。
「ユーザー定義」を選びます。
3.単位を付ける
セルの書式設定-表示形式「ユーザー定義」で「G/標準」のあとに「"円"」をつけます。前後にダブルクォーテーションをつけます。例えば、「123000」と入力すると、セルの値は123000ですが、セルの表示(表示形式)は123000円となります。
次の図は[A]~[D]のユーザー定義の表示形式を設定した時にどのように表示されるかを示しています。いろいろ試してみましょう。
[A] G/標準"円"
[B] G/標準" 円"
[C] G/標準"km/h"
[D] "単価"G/標準"円"
3.桁数を減らす
(1)カンマで桁数減らす
セルの書式設定-表示形式「ユーザー定義」で「0,」のように最後にカンマを付けると1000単位になり、1000分の1の表示になります。例えば、「123000」と入力すると、セルの値は123000ですが、セルの表示(表示形式)は123となります。
カンマ桁区切りは「#,##0,」です。
次の図は[A]~[D]のユーザー定義の表示形式を設定した時にどのように表示されるかを示しています。いろいろ試してみましょう。
[A] 0,
[B] 0.00,
[C] #,##0,
[D] #,##0.00,
カンマを2つにすると100万単位、100万分の1の表示になります。マイナスだけ赤色表示にする場合は「0,;[赤]-0,」となります。
[A] 0,,
[B] 0,;[赤]-0,
[C] #,##0,;[赤]-#,##0,
[D] _ \* #,##0,;[赤]_ \* -#,##0,;_ \* 0
(2)カンマによる桁数減らし+単位
さらに1000倍、100万倍を表す単位を付けることも可能です。
[A] 0,"K"
[B] 0.00,"km"
[C] #,##0,"千円"
[D] #,##0,,"百万円"
4.表示形式を解除する方法
これらの表示形式を解除するには「標準」に戻せばよいです。
解説は以上です。