ピボットテーブルは簡単に集計できる便利な機能です。確かに、ピボットテーブルの使い方を覚えたら関数を使うよりも速く集計表を作ることができます。
しかし、どんなに便利な機能であっても、Excelは人工知能ではないので、自動的に集計をやってくれるわけではありません。集計の仕方は人間が考えなければなりません。
Excelを使う本人が、基礎トレーニングをおろそかにせず、良質な練習問題を繰り返し練習することで、身体でピボットテーブルの使い方を覚えるのです。それは、単調で地味で地道な面白くない訓練かもしれませんが、実践的な分析力を身につける近道なのです。
そこで、今回は、当ブログの記事でいかに基礎訓練が大事かを述べたいと思います。
目次
- 第0章 サンプルファイル
- 第1章 ピボットテーブルとは何か
- 第2章 リスト形式の表を作れ!
- 第3章 ピボットテーブルでいきなり集計するな!
- 第4章 行集計ができなければクロス集計はできない!
- 第5章 クロス集計の練習問題
- 第5章の2 補講 ピボットテーブルの再利用
- 第6章 データの点検にピボットテーブルを使いなさい!
- 第7章 度数分布(ヒストグラム)・ピボットグラフ
- 第8章 ピボットテーブルを用いた応用事例
- 動画版はこちら(無料)
第0章 サンプルファイル
わえなび公式サイト(waenavi.jp)では、この記事で使用しているExcelのデータを無料で配布しています。ご自由にお取りください。
第1章 ピボットテーブルとは何か
(1)分類が必要である
例えば、10000件のデータがあったとします。これをいきなり集計するのは絶対に無理です。
10000件もデータがあれば、何らかの「分類」があるはずです。この「分類」は、区分、グループ、カテゴリーなどいろいろな言い方がありますが、すべて同じ意味です。アンケートの場合も、回答する10000人は一人ひとりに個性がありますが、年代や居住地、経験値などで分類をすることは可能です。
10000件のデータを分類で仕分けて、分類ごとにそれぞれ集計するのが、ピボットテーブルです。したがって、分類が無ければピボットテーブルの意味がありません。
(2)グループ集計は手段である
例えば、受験番号1番から10000番までの10000人の受験生を、受験番号で100人ずつ区切ることは簡単です。しかし、受験番号で区切ってそれぞれのグループで合計や平均を出してもまったく意味がありません。それぞれ集計して比較しても「だから何?」で終わってしまいます。まったく意味のない集計です。
学科ごとに集計して学科間の学力差を見るということも考えられます。しかし、学科ごとに集計をしたら、その先に「学科間に学力差があったらどうするか」「学力差が無かったらどうするか」という議論があります。グループごとに集計するということは、集計の結果「グループ間で差があったらどうするか」「差が無かったらどうするか」という議論があるということです。
ピボットテーブルは、集計して終わりではなく、その先に何をするかが大事であり、それを議論するための基礎資料なのです。
第2章 リスト形式の表を作れ!
集計をするには、リスト形式の表を作ることから始まります。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
この記事のおさらい
1行目に項目名(フィールド名)を記述します。ピボットテーブルにおいてはこの項目名が重要な役割を果たします。2行目から順に、1行につき1件のレコードを入力します。レコードには独立性があり、上下に順序を並べ替えることが可能です。また、各列はフィールドといい、列単位で書式を設定しなければなりません。
第3章 ピボットテーブルでいきなり集計するな!
リスト形式の表ができたら、その1行目にある項目名を使ってグループで集約する練習をします。この練習は、市販の書籍には全く記載されていませんがものすごく重要な練習です。ピボットテーブルを初めて習得しようとする初心者は繰り返し練習することをおすすめします。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
この記事のおさらい
集計は通常、「支店別」「性別」「年代別」「地域別」などグループ別に集計しますが、縦にそのグループを並べる練習をしなければ集計はできません。ピボットテーブルの機能を用いて、縦向きにグループ名を並べる練習をします。大きいグループの中に小さいグループがある場合の設定の仕方、表のレイアウト(見た目)の変更の仕方を習得します。また、リストには重複がありますが、ピボットテーブルには重複がありません。この性質を利用してコード表を作ることもできます。
第4章 行集計ができなければクロス集計はできない!
グループ名を縦に並べることができたら、それを基準として合計、平均、個数、最大最小を求めます。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
この記事のおさらい
「縦にグループ名を並べて、その隣に集計結果を表示する」これが集計の基本です。
グループ名を並べて、集計して、消して、また、グループ名を並べて、集計して、消す、これをひたすら繰り返します。合計を平均や最大最小に切り替えることもできます。また、2種類以上の集計方法を表示することもできます。
第5章 クロス集計の練習問題
ここで、ようやくクロス集計です。ここまでの基本練習ができていないのに、いきなりクロス集計の練習だけしようとするから失敗するのです。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
この記事のおさらい
クロス集計とは、行集計でグループ別に集計したものについて、その内訳を横向きに広げて表示したものです。単に縦横にグループ名を並べているわけではなく、縦方向の行集計が基本にあって、その内訳を横方向に示しているだけです。横方向の集計を取り消したら、単なる行集計に戻ります。集計表のデータ集計の部分はExcelが勝手に計算してくれますが、どのような項目を縦横に並べたらよいかというのは人間が決めることなので、求められている表に応じて自分で考える必要があります。
第5章の2 補講 ピボットテーブルの再利用
ピボットテーブルで集計した後でその結果をもとに資料を作ることがあります。また、数式の一部として、ピボットテーブル内のセルを参照することがあります。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
この記事のおさらい
ピボットテーブルは集計するためのツールであり、そのままデザインを変更しようとしてはいけません。再利用するときには別のシートに貼り付けて元のデータとの連携を切ることが大事です。またピボットテーブル内のセルを参照することも原則として控えるべきですが、やむを得ず参照することがあります。参照するとGETPIVOTDATA関数が表示されますが、それを表示させない方法もあります。
第6章 データの点検にピボットテーブルを使いなさい!
ピボットテーブルは集計だけではなく、集計の前のデータの点検作業においても使えます。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
この記事のおさらい
リスト形式で入力されたデータが必ずしも正しいデータとは限りません。正しくないデータで集計しても何の意味もありません。
正しく入力されていることを確認するにはピボットテーブルを使います。
いろいろなグループ別で「データの個数を数える」ことが矛盾を見つける第一歩です。
第7章 度数分布(ヒストグラム)・ピボットグラフ
数量をグループにすると度数分布表になります。グラフにするのはボタンを押すだけです。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
この記事のおさらい
通常、リスト形式の表にはグループ(分類)の列があって、そのグループ別にピボットテーブルで集計をします。グループの列ではなく数量の列をグループにすると度数分布になります。階級の設定の仕方とピボットグラフの作り方を習得します。
第8章 ピボットテーブルを用いた応用事例
当サイトの記事でピボットテーブルを用いた事例を紹介します。
解説は以上です。
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