たくさんの物を整理するとき「グループに分ける」という方法があります。
数値データの場合、一定の間隔で区切ってグループにしてまとめます。このようなグループを日本語では階級といい、まとめた表のことを度数分布表といいます。Excelの場合、度数分布表を作れば、グラフ(ヒストグラム)にするのはボタンを押すだけです。
そこで、今回は、ピボットテーブル(Pivot Table)を用いて度数分布表を作る練習をしましょう。
目次
- 1.準備
- 2.グループ(階級)の設定と解除
- 3.クロス集計の場合
- 4.ピボットグラフのボタンを押すだけ
- 5.日付のグループ化
- 6.データのないアイテムを表示する
- 7.2列の度数分布
- 8.動画版はこちら(無料)
1.準備
ピボットテーブルの基本的な操作方法については、こちらの3つの記事をご覧ください。
また、わえなび公式サイト(waenavi.jp)では、この記事で使用しているExcelのデータを無料で配布しています。ご自由にお取りください。7-28,7-28-2,7-28-3の「サンプルファイル(ZIP)」です。
2.グループ(階級)の設定と解除
(1)グループを設定する
問題
次のリストで、100人の受験生が午前・午後合わせて200点満点の試験を受けた。
次の図のように10点刻みの度数分布表を作成しなさい。また、120点以上を合格とするとき、合格者が何人いるか確認しなさい。
解説
ピボットテーブルを挿入します(参考:【Excel】ピボットテーブルは集計より「集約」の仕方を理解せよ)。
合計を行のフィールドにドラッグします。受験番号を値のフィールドにドラッグします(参考:【Excel】ピボットテーブルのクロス集計の基本は、行集計である)。
得点と人数の表になります。
度数分布はデータの個数をカウントすることを言いますが、とくに、数量の範囲を等間隔に区切ってカウントする方法があります。
点数の部分を一度クリックします。
グループフィールド(フィールドのグループ化)を選びます。
正しい場所をクリックしていないとグループ化のボタンが使えないことに注意します。
先頭の値に0、末尾の値に200、単位を10とします。
このときチェックが外れます。
これで得点が10点刻みになります。例えば、120点台は7人であることがわかります。
度数分布表を作るときには、フィールドのグループ化で、最小値と最大値、区切るときの間隔をそれぞれ入力します。
なお、「グループフィールド」のボタンは、バージョンによっては「フィールドのグループ化」と表示されることがあります。
下向きにドラッグして範囲選択します。
オートカルク機能によって、画面の右下に「合計:32」と表示されます。合格者は32人です。
(2)グループを解除する
問題
さきほど設定したグループを解除して、繰り返し練習しなさい。
解説
点数の部分をクリックします。
グループ解除のボタンを押します。10点刻みの解除になります。
度数分布表を作成するには、行のフィールドへドラッグしてピボットテーブルを作る作業と、そのフィールドをグループ化する作業が必要です。
グループ化を解除するとグループ化する前の状態に戻ります。
今度は20点刻みにしてみましょう。グループ化のボタンをクリックします。先頭の値に0、末尾の値に200、単位を20とします。
これで完成です。
3.クロス集計の場合
問題
次のリストで、100人の受験生が午前・午後合わせて200点満点の試験を受けた。
縦に午前試験、横に午後試験の点数を並べて、10点刻みで次の表を作りなさい。
解説
午前試験と午後試験の相関関係を見るときに、縦横に並べて表を作ることがあります。これをクロス集計といいます(参考:【Excel】ピボットテーブル集計の練習問題サンプルデータ動画解説付き)。
これでは見にくいので10点刻みにします。まずは縦の数値をグループ化します。グループ化のボタンを押します。
先頭の値に0、末尾の値に100、単位を10とします。
同じように横の数値もグループ化します。
先頭の値に0、末尾の値に100、単位を10とします。
これで完成です。
4.ピボットグラフのボタンを押すだけ
問題
次のようなリストがある。
次のグラフを作りなさい。
解説
ピボットテーブルをもとにして作るグラフを「ピボットグラフ Pivot Graph」といいます。ピボットテーブルで度数分布表を作った場合、それをもとにして作るグラフ(ヒストグラム)もピボットグラフの一種です。
リスト形式の表は、いったんピボットテーブルで集計した後で、集計した表をもとにピボットグラフを作ります。
ピボットテーブルを挿入します。行を打率にします。値を氏名にします。
ピボットテーブルツールの中にピボットグラフのボタンがあります。縦棒グラフにします。
縦棒グラフ(ピボットグラフ)が挿入されます。さきほどの問題と同じように、フィールドのグループ化で、0.2から0.4で0.02ごとのグループにします。
打率ごとの人数、ヒストグラムになります。これで完成です。
ピボットテーブルが変わると、連動してピボットグラフも変わります。
5.日付のグループ化
問題
2050年1月から2051年12月まで日付と売上金額が入力されている。月ごとの合計売上金額を求めなさい。
解説
ピボットテーブルを挿入します。
日付を行のフィールドにドラッグします。金額を値のフィールドにドラッグします。
フィールドのグループ化をします。
行のフィールドとして日付が入力され、しかも、日付の表示形式になっている場合、グループ化の画面も日付を指定する画面になります。
元の表で日付の範囲を確認して、開始日と終了日を2050年1月1日から2051年12月31日までとします。単位は月を選びます。
これでそれぞれの月の合計を求めることができますが、たとえば、1月は2050年1月と2051年1月を合わせた合計となります。
これを分けたい場合はグループ化の画面で年と月を選べばよいです。
これで完成です。
6.データのないアイテムを表示する
問題
次のリストで10点刻みの度数分布表を作りなさい。
解説
ピボットテーブルを挿入します。
得点を行のフィールドにドラッグします。受験番号を値のフィールドにドラッグします。
フィールドのグループ化を選びます。先頭の値に0、末尾の値に100、単位を10とします。
50点台と70点台の人がいないことがわかります。
そこで得点のフィールドの設定を押します。
レイアウトと印刷の中から、データのないアイテムを表示する、にチェックを入れます。
50点台と70点台が表示されます(データの個数は空白)。
さらに、オプションで、空白セルに表示する値に0を入れます。
これで完成です。
データの個数が0の場合は、フィールドの設定でデータのないアイテムを表示して、空白セルを0にします。
7.2列の度数分布
問題
次のリストで、100人の受験生が午前・午後合わせて200点満点の試験を受けた。
次のような表を得るには、どうすればよいか述べなさい。
解説
ピボットテーブルを挿入します。
まずは、午前試験の列について考えます。
10点刻みで度数分布表を作成します。
これをコピーして、別のシートに値だけ貼り付けます。
午後試験の列と差し替えます。
10点刻みで度数分布表を作成します。
これをコピーして、別のシートに値だけ貼り付けます。
午前・午後を差し替えてコピーしたほうが早く作れます。
別解
1つのピボットテーブルとして作成するには、もともとのリストの作り方を変える必要があります。クロス集計として、午前と午後を横に並べるためには、午前・午後を入力するためのフィールドがあるということです。
つまり、このような表です。午前と午後の得点を縦に並べます。
ピボットテーブルを挿入します。縦に得点、横に午前午後を並べます。
10点刻みで度数分布表を作成します。
これで完成です。
解説は以上です。
8.動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなびファンダメンタルExcel Program7-28、7-28-2、7-28-3、9-35 の動画の内容を書き起こし、加筆修正したものです。
- ファンダメンタルExcel 7-28 ピボットテーブルの基本8(度数分布)
- ファンダメンタルExcel 7-28-2 補講 データのないアイテムを表示する
- ファンダメンタルExcel 7-28-3 補講 2列の度数分布
- ファンダメンタルExcel 9-35 ピボットグラフ
動画版(完全版)は、Youtubeにすべて無料で公開しております。ぜひ、ご覧ください。