わえなび ワード&エクセル問題集 waenavi

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【Excel】プレゼンや資料のグラフを作るコツは強調ではなく統一感である


Excelで見やすいグラフを作ろうとして下手な装飾をして失敗している例をよく見かけます。また、自分の主張を伝えるために、強調することばかり考えてグラフを作ると、押しつけがましい不快なグラフになってしまいます。

プレゼンで使うスライドや資料は全体的な統一感が最も重要です。統一感のある色づかいや配置をしていれば、そのなかでバランスを崩すだけで目立たせることができます。

これは、Excelのグラフの場合も同じです。強調する項目を無理やり目立たせるのではなく、強調しない部分をできるだけ目立たないようにして統一感のある柔らかなデザインにしておくことが最も大事なのです。また、1つの項目だけを強調するのか、全体の傾向を強調するかによって、工夫の仕方が変わります。

そこで、今回は、主張に合わせたグラフの作り方について出題します。

 

 

目次

問題文のあとに簡単な操作方法を解説していますが、静止画では、わかりにくいと思いますので、最後に動画を載せています。ぜひご覧ください。

1.地味な色でも目立つ

(1)Excelは強調したい点を知らない

Excelでグラフを作ると資料に全く使えないグラフができます。しかし、Excelがダサいグラフをあえて作ろうとしているわけではありません。

Excelは指示通りにグラフを作ることはできますが、強調したい点を知らないので、アクセントのないグラフになります。また、Excelは、今から作ろうとしている資料全体のテーマを表す色づかい(テーマカラー)を知らないので、無難にフルカラーのグラフを作ってしまい、結果としてダサく見えるのです。

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(2)では、初めに何をするべきか

Excelは「資料で何を伝えたいのか」を知らないので、資料を作る本人がグラフを修正しなければいけません。まず初めにすることは、無駄なものをすべて取り除いて、テーマカラーに合わせて1色にすることです。

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テーマカラーが無ければ、グレーが無難です。このように全体を統一しておいてから、1か所だけ変えるだけで地味な色でも十分目立ちます。

インターネット上で、見やすいグラフ、かっこいいグラフ、クールなグラフといったキーワードで検索すると、センスのいいグラフがたくさん見つかりますが、やっていることはすべて同じです。「無駄を省いて統一する」ということです。

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2.原則として凡例は不要

問題

次の表は、カレーが好きか嫌いかについて調査し、その回答を集計した結果である。

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表を入力して、次の円グラフを作成しなさい。

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解説

項目名とパーセンテージを入力します。範囲選択して、円グラフを挿入します。

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グラフタイトルを入力します。凡例を削除します

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データラベルを追加します。データラベルの書式設定で、分類名とパーセンテージにします。

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データラベルを動かします。これで完成です。

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3.強調する前に彩度を下げる

問題

さきほどの円グラフを、「カレーが好きな人は8割以上である」ことが伝わるように修正しなさい。

解説

強調をするからと言って大きくすればいいというものではありません。グラフ自体が見えなくなるのは、グラフをかいた意味がないので問題外です。

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また、派手な色にすればいいというものでもありません。

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文字を大きくしたり、目立つ色にして、人間の目に無理やり入れようとするのはきわめて不快であり、逆効果です。これは強調ではなく迷惑行為です。

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一定のリズムで並んでいるものの中に、1つだけ違うものがあると目立ちます。

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強調とは、全体を統一してから、1か所だけリズムを変えることです。

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塗りつぶしの色を変えます。「ふつう」と「嫌い」の色をグレーにします。

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さらに、文字の色もグレーにします。また、「好き」と「どちらかといえば好き」の2つの色をできるだけ近い色にします。同じ系統の色に統一するのがポイントです。

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フォントサイズを少し大きくするだけで、十分に強調の意図は伝わります。

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合わせて82%であることを強調したいので、テキストボックスを挿入します。

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このように、濃いグレーや薄いグレーを使って地味な色にすることを「彩度を下げる」といいます。これによって色がついている部分が強調されます。

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4.強調する前に明度を上げる

問題

さきほどの円グラフを、「カレーが嫌いな人が4%もいる」ことが伝わるように修正しなさい。

解説

このように、嫌いな人4%だけ色を付けると、青色でも十分目立ちますが、地味な色が多すぎて、全体的に暗い印象になります(好みの問題ですが)。

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何でもかんでも、グレーやシルバーのデザインにすればいいというものではありません。

テーマは「カレー」なのでカレーの色にしたほうがいいです。白黒ではなくテーマカラーを使いたい場合、全体的に白に近い薄い色やパステル系の色に統一しておいて、濃い色(または黒に近い色)を使うと目立ちます。

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このように、薄い色で統一することを「明度を上げる」といいます。これによって濃い色の部分が強調されます。

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5.主張に合わせて図形を挿入する

問題

次のグラフを「順位が10位以内だったことが2回ある」という主張に合わせて修正しなさい。

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解説

データラベルを少し大きくします。

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10位以内を強調する場合、横軸よりも縦軸の目盛ラベルも少し大きくしたほうがよいです。折れ線グラフの場合、マーカーの色を変えてもあまり目立ちません。

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そこで、図形を挿入して、丸で囲むか、矢印で印をつけて、注目してもらうようにします。

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このとき、折れ線の色を地味にしたほうがよいです(彩度を下げる)。

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6.目立たないように工夫する

問題

次のグラフを「山田と中村の英語が同点だった」という主張に合わせて修正しなさい。

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解説

このグラフを見ても、2人の英語の点数を比較していることは全く伝わりません。それは使っている色が多すぎていて、しかも、色が濃すぎるからです。

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多色配色はたいていの場合、失敗します。いくら目立たせようとしても無駄な努力です。

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このように、一部分を強調するときには、強調することだけを考えるのではなく、強調しない部分をできるだけ目立たないように工夫します。

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例えば、全体的な明度を上げて、2本の棒だけを濃い色にすると目立ちます(上のグラフと比較してみてください)。

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7.グラフの形を変える

問題

次のグラフはある地点の1日の気温の変化を表したものである。「午前中は気温が上がり、14時以降は下がる」ことが伝わるように、グラフを修正しなさい。

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解説

14時の気温が一番高くなっています。14時が一番高いことはグラフを見れば分かります。このように1か所だけ強調するのは比較的簡単です。

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しかし、横ばいであることを伝えたいのか、増えたり減ったりしていることを伝えたいのか、全体の傾向を伝えるのは難しいです。

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図形を書き込むことで補足の説明をするのが一般的です。

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縦軸を選択します。最小値を20、最大値を30にします。

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矢印を入れて完成です。

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縦軸を選択します。今度は最小値を-5、最大値を40にします。一日中気温が変わらないように見えます。

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2つのグラフは同じデータを表していますが、左のグラフは変動が大きくなり、右のグラフは変動が小さくなります。

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グラフの数値軸の最大値と最小値を近づけることによって、その部分を拡大することができます。値の変化を強調することができます。

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これに対して、最大値と最小値を離すことによって、グラフがつぶれて値の変化がないことを強調することができます。このように、伝えたい内容に合わせてグラフの形を変えるという手法もあります。

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8.ダミーで強調する

問題

次のグラフはある団体の登録会員数を表している。「増減はあるが全体として上昇傾向にある」ことが伝わるように、グラフを修正しなさい。

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解説

データの増減を大きく見せるときは、通常、グラフを縦長にします。

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また、グラフの種類を変えてみることも検討します。

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折れ線グラフの場合、折れ線が上半分に偏っている場合は、最小値を調節します。

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しかし、棒グラフの場合は、たくさんの会員がいることを表すため、最小値を変えないほうがよいです。

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要素の間隔を狭くして、棒を太くすることでさらに会員がたくさんいることを表します。

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矢印を入れれば全体的に上昇していることが伝わります。

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しかし、棒グラフにしても、折れ線グラフにしても、1か所だけ下がっている部分があるのが気になります。

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この表の続きに将来の予測として、少し大きめの数値を入れます。

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棒グラフの場合は、枠線を点線にして、塗りつぶしを薄い色にします。

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折れ線グラフの場合は、点線にして矢印に変えます。

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将来の予測としてダミーのデータを入れると、縦軸の最大値が大きくなるため、グラフの右側を意識するようになります。これによって、減少した部分が目立たなくなります。

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9.グループで色分けをする

問題

次のグラフについて、「良くなる」と「悪くなる」がほぼ同数であることが伝わるように、グラフを修正しなさい。

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解説

「良くなる」と「悪くなる」を比較すると、「良くなる」のほうが多いです。

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しかし、このアンケートでは「どちらかといえば悪くなる」と答えている人が一番多いということに注意します。

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半分近くの人は、景気が良くなるとは思っていないのです。

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これを表すには、このように良いと悪いをそれぞれ同じような色にして、合わせたパーセンテージを大きく表示します。これで、全体として良いと悪いがほぼ同数であることがわかります。

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10.さいごに

デザインの定番書「ノンデザイナーズ・デザインブック」は、デザインを人生に例えて次のように述べています。

人生においては、何かが複数存在するとダイナミックな関係が成立します。活字の世界でも、通常は一つのページに複数の要素が存在するので、同じことが起きます。・・・これらのページ(や人生)での力関係は、協調衝突コントラストのいずれかになります。

 

協調関係はページの調和を保ちやすいのですが、静かになりすぎて退屈なだけになります。そこで、注意を引き付けるような視覚的に魅力的なコントラスト(強調)をつけます。しかし、協調でもコントラストでもなく、意味もなく似ているだけのデザインは「衝突」となり混乱を招く原因となります。

 

センスのいいグラフとは、強引な装飾や視覚効果を使わずに、周りの力を使いながら無駄を省いて主張を伝えるグラフのことをいいます。

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解説は以上です。


11.動画版はこちら(無料)

この記事は、わえなび実力養成講座「Excel新演習5」Program 5-6 と 5-7 の2本のYoutube動画を書き起こして、加筆修正したものです。

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