ExcelのROUND関数を使うときに桁数の指定をします。「桁数」とは何の桁の数なのかを理解しなければなりません。ROUND関数の「桁数」とは、小数点の位置を基準として考えたときに、四捨五入をした結果として残る桁数のことです。
ところで、四捨五入は小学校の算数で習いますが、日本語で桁数を表現するときに、「1の位を四捨五入」「小数第1位を四捨五入」「小数第2位までの値にする」「10円未満四捨五入」などといろんな言い方があって悩んでしまいます。小学生もテストでよく間違えます。ROUND関数を考えるときには、四捨五入をした結果、残る桁なのか、消える桁なのかを考えると分かりやすくなります。
そこで、今回は、ROUND関数の桁数についてまとめて出題します。
目次
問題文のあとに簡単な操作方法を解説していますが、静止画では、わかりにくいと思いますので、最後に動画を載せています。ぜひご覧ください。
1.整数値にするなら桁数=0
問題
「543.21」「456.78」と入力した。ROUND関数を用いて小数部分を四捨五入して整数値にしなさい。
解説
[fx]関数の挿入のボタンを押します(参考:【Excel】ROUND関数と表示形式の違い、数式の検証で計算が合わない原因を見つける練習)。
ROUNDを探します。数値に「A2」と入力して、543.21と表示されることを確認します。
桁数に「0」と入力します。
計算結果として543と表示されます。
「=ROUND(A2,0)」と入力されます。
456.78についても同じ操作を繰り返して練習しましょう。
457になります。
整数値で考えると、543.21は、543と544の間で543に近いです。456.78は、456と457の間で457に近いです。
近いか遠いかは小数第1位の数字で判断します。0~4だったら切り捨て、5~9だったら切り上げとなります。これが基本パターンです。
いずれにしても、小数点以下の桁数が無くなるので「桁数」を0にします。小数点以下が無くなるように四捨五入をするには桁数=0にするというのが基本パターンです。
2.小数点以下表示桁数
問題
「543.21」「456.78」と入力した。ROUND関数を用いて小数第2位を四捨五入して、小数第1位までの値にしなさい。
解説
[fx]関数の挿入のボタンを押します。
ROUNDを探します。数値に「A2」と入力して、543.21と表示されることを確認します。
桁数に「1」と入力します。
計算結果として543.2と表示されます。
「=ROUND(A2,1)」と入力されます。
456.78についても同じ操作を繰り返して練習しましょう。
456.8になります。
小数第1位までで考えると、543.21は、543.2と543.3の間で543.2のほうが近いです。456.78は、456.7と456.8の間で456.8のほうが近いです。
近いか遠いかは小数第2位の数字で判断します。0~4だったら切り捨て、5~9だったら切り上げとなります。
つまり、1つ下の位で判断します。
小数第2位を四捨五入の判断基準として四捨五入をした場合、その結果は小数第1位までの値になります。
いずれにしても、小数点以下の桁数が1桁になるので、桁数は1です。
このようにROUNDの画面で入力する「桁数」とは四捨五入をした結果、小数点より右側に残る桁数のことです。
そして、その下の桁の数字を見て4以下なら切り捨て、5以上なら切り上げる(繰り上げ=1を足す)処理をします。
3.参照するセルが無いときは直接入力
問題
ROUND関数を用いて、「4.321」を小数第2位までの四捨五入にした値をセルA1に表示しなさい。
解説
[fx]関数の挿入のボタンを押します。
ROUNDを探します。画面上に四捨五入をする対象となる数値が無い場合、直接入力します。
数値の欄に4.321と入力します。四捨五入をした結果が小数第2位までになるようにしたいのであれば、桁数は2です。桁数に「2」と入力します。
計算結果として4.32と表示されます。
「=ROUND(4.321,2)」と入力されます。
これは4.321を、小数第2位までになるように四捨五入するという意味で、切り上げか切り捨てかの判断基準は小数第3位です。切り捨てなので4.32となります。
4.相対参照が使える
問題
A列に小数を入力した。ROUND関数を用いて四捨五入をして、小数第1位までの値にしなさい。
解説
[fx]関数の挿入のボタンを押します。
ROUNDを探します。A1を参照します。小数第1位までなので、桁数は1です。
計算結果として4.3と表示されます。「=ROUND(A1,1)」と入力されます。
オートフィルをします。
このとき、セルの参照がA2、A3、となります。相対参照になっています。
5.四捨五入の表現と桁数
(1)~の位までの四捨五入
問題
「65.4321」と入力した。ROUND関数を用いて次の各設問に答えなさい。四捨五入して小数第1位までの値にしなさい。
解説
ROUND関数の桁数は、四捨五入をしたときに小数点の右側に何桁残っているかを考えます。小数点の位置を0として、小数点以下1桁なら桁数=1、小数点以下2桁なら桁数=2となります。
その桁数の1つ下の桁が、切り上げか切り捨てかの判断基準となり、4以下なら切り捨て、5以上なら切り上げということになります。
例えば、桁数2の場合、小数第2位まで残すという意味ですが、切り上げ、切り捨ての判断基準は小数第3位です。小数第3位を切り捨てることによって、小数第2位までの数値となります。
日本語には四捨五入の桁数を表す表現方法が何通りかありますが、最も分かりやすいのは「整数値にする」「~までの値にする」「小数点以下~桁にする」のように、四捨五入をした結果、どのような形式になるかを表す表現です。
整数値にするのであれば、小数部分が無いので、桁数は0です。
小数第1位までの値にするのであれば、小数点以下の桁数は1、小数第2位までの値にしたいのであれば桁数は2です。
[fx]関数の挿入のボタンを押します。
ROUNDを探します。数値に「B1」と入力します。
小数第1位までなので、桁数に「1」と入力します。計算結果として65.4と表示されます。
「=ROUND(B1,1)」と入力されます。
(2)~の位を四捨五入
問題
小数第3位を四捨五入しなさい。
解説
契約書や説明書など他人に説明するときには「~の位を四捨五入する」といいます。例えば、「小数第3位を四捨五入する」とは、小数第3位が切り捨てまたは切り上げの判断基準であり、4以下なら切り捨て、5以上なら切り上げということになります。
小数第3位で判断するということは、切り捨ての場合も切り上げの場合も小数第3位は消えるので、結果として小数第2位まで残ります。
例えば、65.4321の小数第3位は「2」なので、小数第3位を四捨五入(この場合は切り捨て)すると「21」の部分が消えます。小数第2位までの数となりますから、桁数は「2」となります。
「~を四捨五入」は、その桁を含めて消すということなので、結果としてその上の位までの数値が残ることになります。
[fx]関数の挿入のボタンを押します。
ROUNDを探します。数値に「B1」と入力します。桁数は「2」です。
計算結果として65.43と表示されます。「=ROUND(B1,2)」と入力されます。
(3)~未満を四捨五入
問題
0.001未満を四捨五入しなさい。
解説
「0.001未満を四捨五入」とは0.001未満は不要であるという意味です。
つまり、0.001より小さい桁の部分(右側)を無くすことによって、四捨五入をした結果を0.001の単位までにするという意味です。つまり、小数第4位を四捨五入して、その結果として小数第3位までの値になればよいということです。
したがって、桁数=3です。
[fx]関数の挿入のボタンを押します。
ROUNDを探します。数値に「B1」と入力します。小数第3位まで残すということですから桁数は3となります。桁数に「3」と入力します。
計算結果として65.432と表示されます。「=ROUND(B1,3)」と入力されます。
6.桁数をマイナスにする
(1)1の位の四捨五入
問題
「543.21」「456.78」と入力した。ROUND関数を用いて、1の位を四捨五入して、1の位が0になるようにしなさい。
解説
自動販売機のジュースの値段や電車の料金は必ず1の位が0になっています。
金額を10の倍数にするときに1の位を切り上げるか切り捨てるかは法令や規則で定められている場合もあれば、それぞれの企業の判断で決める場合もあります。四捨五入をする場合はROUND関数を使います。
ROUNDの画面にします。数値はA1、桁数は-1とします。
結果として540と表示されます。
ROUNDの画面にします。数値はA2、桁数は-1とします。
結果として460と表示されます。
1の位が0の場合、543.21は、540と550の間で540のほうが近いです。1の位が3なので切り捨てです。456.78は、450と460の間で460のほうが近いです。1の位が6なので切り上げです。
1の位を四捨五入する場合は、1の位が切り上げか切り捨てかを判断する基準となり、その結果として1の位が0になります。
ROUND関数の桁数は、小数点を基準として考えます。
小数点以下を四捨五入して無くす場合は、小数点以下が無くなるのですから桁数=0です。小数第1位までの値にする場合は桁数=1、小数第2位までの値にする場合は桁数=2です。
四捨五入をした結果、小数点の右側に何桁残るかを指定します。右に行くほど桁数は増えます。
その逆で、小数点の左側を四捨五入するときには、マイナスとなります。
小数点の左側に並ぶ0の個数をマイナスで指定します。
1の位を四捨五入して、1の位を0にしたいのであれば桁数=-1、10の位を四捨五入すると0が2つなので桁数=-2となります。
(2)100の位を四捨五入
問題
ROUND関数を用いて、「3456.78」の100の位を四捨五入しなさい。
解説
100の位を四捨五入するということは、100の位が切り上げor切り捨ての判断基準となります。3456.78の100の位が4なので切り捨てです。
その結果は1000の倍数となります。0が3つなので桁数は-3です。
ROUNDの画面にします。
数値は3456.78、桁数は-3とします。
結果として3000と表示されます。
(3)100の位までの四捨五入
問題
「7654.3」と入力した。ROUND関数を用いて、四捨五入して100の位までの数値(100の倍数)にしなさい。
解説
四捨五入をして100の位までの数値にするためには、その下の位である10の位で切り上げか切り捨てかを判断することになります。10の位が5なので切り上げとなります。100の倍数になり、0が2つになります。桁数は-2です。
数値はB1、桁数は-2です。
切り上げで7700になります。
(4)100の位を四捨五入
問題
ROUND関数を用いて、100の位を四捨五入しなさい。
解説
100の位を四捨五入するということは100の位が切り上げか切り捨てかの判断基準であり、100の位が6なので切り上げです。四捨五入をした後の値を考えると、100の位も含めて0になるので、0は3個になります。
数値はB1、桁数は-3です。
切り上げで8000になります。
(5)10未満の四捨五入
問題
ROUND関数を用いて、10未満を四捨五入しなさい。
解説
10未満を四捨五入するというのは10未満が不要という意味です。
つまり、10より小さい部分を無くすということであり、四捨五入をした結果を10の倍数にするのと同じです。1の位が4なので切り捨てです。
数値はB1、桁数は-1です。
切り捨てで7650になります。
解説は以上です。
7.動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなび実力養成講座「ファンダメンタルExcel」Program 12-2、12-3、12-4 のYoutube動画を書き起こして、加筆修正したものです。
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