ROUND関数は桁数を指定して数値や計算結果を四捨五入する関数です。オートSUMの使い方を理解した「関数の初心者」が新しいExcel関数を練習するなら、ROUND関数を練習すべきです。
この点、IF、VLOOKUP、COUNTIFなどの主要な関数に比べると、ROUND関数は実務で使うことが少ないため、ROUND関数を学ぶ必要があるのか?といった意見があるようですが論外です。「よく使う関数」と「練習しやすい関数」は違うのです。ROUND関数は、Excel関数の性質を理解するうえで最も重要な関数であり、Excelで用いるすべての関数の基本となる技能をROUNDで習得することができるのです。ROUNDが使えるようになれば、Excelの主要な関数の習得が容易になります。
そこで、今回はROUND関数の挿入と削除の基本トレーニングの方法について解説します。
目次
問題文のあとに簡単な操作方法を解説していますが、静止画では、わかりにくいと思いますので、最後に動画を載せています。ぜひご覧ください。
- 1.ROUND関数挿入の基本トレーニング
- 2.正しい操作を覚えましょう
- 3.四捨五入だからといってROUNDとは限らない
- 4.ROUND関数の削除
- 5.先頭のイコール
- 6.四捨五入した値で上書きする
- 7.動画版はこちら(無料)
1.ROUND関数挿入の基本トレーニング
(1)ROUND関数挿入の画面
問題
セルA1、A2に「123.456」と入力した。ROUND関数を用いて、セルA1の値を四捨五入して整数値にしたものをセルB1に表示しなさい。
解説
ROUNDの画面にします(参考:【Excel】ROUND関数と表示形式の違い、数式の検証で計算が合わない原因を見つける練習)。数値はA1、桁数は0とします。
結果として123と表示されます。
ROUND関数は原則として別のセルに結果を求めます。
(2)既に入力されている数値の四捨五入
問題
ROUND関数を用いて、セルA2の値を整数値にしなさい。
解説
先頭に半角でイコールを入力します。
さらに、半角で「round(」と入力します。これは小文字で構いません。
ヒントが表示されます。これを見ながら入力しても構いません。
式の最後をクリックします。
数値の後にカンマが必要であることが分かります。
カンマを入力すると、桁数が太字になります。
桁数は0です。カッコを閉じます。確定すると123になります。
既に値が入力されている場合に、ROUND関数を用いて四捨五入をしたい場合は足りない部分を直接入力します。
先頭にイコールROUND・かっこをつけて、最後にカンマ・桁数を入力してカッコで閉じます。
このROUND関数の形を覚えることが大事です。
別解
「=r」と入力するとRから始まる関数名が表示されます。
下向き矢印でROUNDを選び、[TAB]キーで選びます。
これで最初の部分を入力することができます。
(3)セル参照の四捨五入
問題
セルA1、A2に「123.456」と入力した。セルA3はセルA1を参照している。ROUND関数を用いて、セルA3の値を整数値にしなさい。
解説
セルを参照しているということはすでにイコールがあります。この場合はさらにイコールを入力する必要はありません。イコールの後をクリックします。
半角で「round(」と入力します。ヒントが表示されます。
式の最後をクリックします。カンマを入力すると、桁数が太字になります。桁数は0です。
カッコを閉じます。
確定すると123になります。
(4)ROUNDの入力練習
問題
さきほどの問題で小数第3位を四捨五入しなさい。また、桁数を変えて何度も繰り返し練習しなさい。
解説
ROUND関数を挿入する方法はおもに3通りありますが、状況に応じて使い分けます。それでは練習してみましょう。
まず、隣に入力されているセルを四捨五入する方法です。ROUNDの画面にします。
小数第3位を四捨五入するので、小数点以下の桁数は2です(参考:【Excel】ROUND関数の桁数は「小数点の位置」を0として考えると分かりやすい)。
これで入力できました。数式バーのROUNDをクリックします。
[fx]関数の挿入のボタンを押すと、もう一度ROUNDの画面を表示することができます。桁数を間違えたときはこれで修正できます。
次に、直接入力する方法を練習しましょう。先頭にイコールを入力します。
半角で「round(」と入力します。ヒントが表示されます。数値が太字になっています。セルA1をクリックするか、または「a1」と入力します。カンマを入力すると、桁数が太字になります。桁数は2です。カッコを閉じます。
確定すると123.46になります。今度は既に入力されている数値にROUNDをつける方法です。
先頭にイコールとROUNDとかっこを入力します。ヒントが表示されます。
最後をクリックします。カンマと2とかっこを入力します。
すでにイコールが入力されている場合の練習をしましょう。
イコールの後をクリックしてカーソルがあることを確認します。ROUNDとかっこを入力します。
最後にカンマと2とかっこを入力します。
この4つの入力方法について、桁数を変えて何回も練習しましょう。
2.正しい操作を覚えましょう
(1)循環参照のエラー
問題
セルA1の値を四捨五入しようとしたところ循環参照のエラーが表示された。この原因を述べなさい。また、正しくROUND関数を挿入しなさい。
解説
セルA1に既に数値が入力されています。これを四捨五入しようとして、あやまって[fx]関数の挿入のボタンを押してしまったとします。
この時点で、元の数値は消えます。この操作は間違いです。
ROUND関数の画面にします。A1をクリックすると123と表示されます。桁数を0にします。この画面では正しいように見えます。
これで確定すると循環参照のエラーになります。123の代わりにROUNDの式を上書きしたからです。
数式を入力しているセル自身を参照することはできません。
この場合、元に戻します。
ところで、表示形式の場合、小数点以下表示桁数のボタンで四捨五入の表示にすることができます。
表示形式は書式なので、セルに対して直接操作することができます。
しかし、ROUNDは関数なので関数を挿入した時点で上書きになります。
ROUND関数を別の場所に入力するかまたは、ROUND関数を補う方法で挿入しなければなりません。
また、数式バーにカーソルを置いて関数の挿入のボタンを押そうとするのも間違いです。正しい関数の挿入方法をしっかりと練習することを心がけましょう。
先頭に半角でイコールを入力します。さらに、半角で「round(」と入力します。
式の最後をクリックして、カンマを入力します。桁数は0です。カッコを閉じます。
確定すると123になります。
(2)ROUNDが後ろに追加される
問題
セルA1を参照しているセルについて、ROUND関数を追加しようとして誤った操作をしたため、約2倍の答えになってしまった。この原因を述べなさい。また、正しくROUND関数を挿入しなさい。
解説
セルA1を参照しているセルがあります。
ここで[fx]関数の挿入のボタンを押すと、数式の後にROUND関数が挿入されます。この操作は間違いです。
数式が既に入力されている場合、関数を挿入すると最後に足し算で追加されます。
元の数値と四捨五入をした値を足しているので約2倍の答えになってしまいます。
この場合は、「A1+」の部分が不要なので削除すればよいです。
しかし、練習をするときには正しい操作方法を覚えるべきです。操作を間違えた場合は元に戻してもう一度やり直します。
そして、もう一度正しい操作方法で関数を入力します。この場合はROUND関数の足りない部分を直接入力で補います。
(3)引数が少なすぎる
問題
ROUND関数を入力しようとしたところ、「この関数に対して、少なすぎる引数が入力されています。」というエラーが表示された。この原因を述べたうえで正しくROUND関数を挿入しなさい。
解説
ROUND関数の画面を表示します。
このときに、数値の欄だけ入力して桁数を空欄にしたまま確定した場合、エラーが表示されます。
桁数を追加して入力するときは、数値の後にカンマを入力してから、桁数を入力します。
ROUND関数の中には引数が2つあってカンマで区切られています。両方とも必須なので入力していなければエラーになります。
桁数を入力するのを忘れた場合は、カンマと桁数を直接入力します。
しかし、練習をするときには正しい操作方法を覚えるべきです。
このようなエラーが出たときにはいったんキャンセルをします。
そして、もう一度正しい操作方法で関数を入力します。
3.四捨五入だからといってROUNDとは限らない
問題
セルA1を四捨五入して整数値の「表示」にしなさい。また、標準に戻しなさい。
解説
セルA1を選択します。小数点以下表示桁数を減らして、整数値の表示にします。
123の表示になりますが、セルの値が123.456であることに変わりはありません。
標準にすると元に戻ります。
四捨五入をして整数値の表示にする場合は、表示形式を変えるだけで良いです。ROUND関数を使ってはいけません。
4.ROUND関数の削除
問題
セルA1に入力されている数値の1の位を四捨五入した値をセルB1に求めなさい。また、ROUND関数を削除して元の数値を表示しなさい。
解説
ROUNDの画面にします。1の位を四捨五入するので、桁数は-1です。
これで入力できました。
慣れてきたらキーボードで直接ROUND関数を入力しても構いません。
このROUNDを取り消す場合は、ROUND関数の部分を削除しなければなりません。先頭のイコールを残して「ROUND(」を削除します。
最後の「,-1)」を削除して確定します。
ROUND関数を削除するときは、ROUNDとかっことカンマと桁数を削除します。原則として先頭のイコールは残します。
ただし、数値だけになった場合は先頭のイコールを削除しても構いません。
ROUNDを付け加える操作と削除する操作は繰り返し練習をします。
5.先頭のイコール
問題
ROUND関数を入力するときに「正しくありません」と表示された。なぜ正しくないのか説明しなさい。また、正しくROUND関数を挿入しなさい。
解説
ROUND関数の画面を表示します。このとき誤って先頭にイコールを入力してから、セルA1を参照したとします。
「正しくありません」と表示されます。この操作は間違いです。
数式はイコールが2つになっています。確定しようとすると、「この数式には問題があります。」と表示されます。
数式の先頭のイコールは計算式の始まりを表し、最終的な答えをセルに返して表示させる役割があります。
この場合、セルA1ではなく、ROUNDの結果をセルに表示させなければなりません。
最終的な答えが求められていない段階で、比較演算でもないのにイコールがあるのは間違いです。
この場合はイコールを削除すればよいです。
しかし、練習の場合は正しい操作方法を覚えるべきです。消してもう一度やり直します。
6.四捨五入した値で上書きする
問題
A列に小数が入力されている。四捨五入をして小数第2位以下をすべて削除しなさい。
解説
既に数値が入力されているセルがあり、そのセルを四捨五入をする場合、ROUND関数を付け加えます。
しかし、この作業を一個ずつやっていくのは大変です。
B列にROUND関数を挿入します。数値はA1、桁数は1です。
小数第1位までになりました。
しかし、A列を削除するとエラーになります。参照元が消えたからです。
B列をコピーします。
A列に値を貼り付けます。値を貼り付けるとROUND関数ではなく、その答えが値として貼り付けられます。
B列を削除します。これで完成です。
ただし、この方法の場合、元の値は消えてしまいます。
別解
B列に三角と四角を連結する計算式を入力します。この記号は何を使っても構いません。
B列をコピーします。
A列に値を貼り付けます。
置換の画面を表示します(参考:Excelの「置換」のルールと注意点を習得するための基本トレーニング)。四角を「,1)」にすべて置換します。
さらに三角を「=round(」に置換します。
置換されると同時にROUND関数が計算され、小数第1位までになります。
解説は以上です。
7.動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなび実力養成講座「ファンダメンタルExcel」Program 12-5、12-6、12-7 のYoutube動画を書き起こして、加筆修正したものです。
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