Excelでコピーをして貼り付けるときには、必ず書式とデータの2つの情報をコピーしていることを意識しなければなりません(【Excel】セルにはデータと書式の2つの情報が別々に保存されている)。また、コピー元が数式の場合は、相対参照によってセルの位置が変化した数式の貼り付けになります。
Excelには「貼り付けのオプション」つまりコピーしたものの一部の情報だけを貼り付けることができます。特に、値の貼り付けはよく使います。値の貼り付けは文字通り「値だけを貼り付ける」ので書式がコピーされない(上書きされない)のですが、数式の場合は計算結果のみの貼り付けになりますので、計算式を消す効果があるということを理解しなければなりません。これによって自動再計算を止めることができます。
そこで、今回は、値の貼り付けと演算貼り付けによって計算式を消す手法について出題します。
目次
問題文のあとに簡単な操作方法を解説していますが、静止画では、わかりにくいと思いますので、最後に動画を載せています。ぜひご覧ください。
1.書式もコピーされる
問題
A列に、上の数を2倍する計算式を入れます。
そしてC列とE列の塗りつぶしの色を変え、格子の罫線を引きました。
A11:A15をコピーしてC列に貼り付けなさい。
解説
A11:A15をコピーします。
C列に貼り付けると値が変わります。これは相対参照の影響によるものです。上のセルを2倍する計算式をコピーしたので、上のセルは空白なので0になります。
また塗りつぶしの色も罫線もなくなります。
セルにはデータと書式の情報が含まれており、別々に管理されています。
コピーをするとデータと書式の両方がコピーされます。
このとき、計算式は相対参照のため、参照するセルが変わります。また、書式もコピーされるので塗りつぶしも罫線も消えます。
2.値の貼り付け
問題
さらに、A11:A15をコピーしてE列に値を貼り付けなさい。
解説
コピーをします。
貼り付けるときに形式を選択して値だけの貼り付けをします。
計算式が消えて計算結果だけのコピーになります。また、塗りつぶしや罫線は残ります。
値の貼り付けをすると計算式は消えて、計算結果だけがコピーされます。このとき書式はコピーされないので、塗りつぶしも罫線も残ります。
3.参照先を参照元にコピーしてもよいか
問題
さらに、セルA11の値1024を、セルA1にコピーしなさい。
解説
セルA11の「1024」を利用しようとしています。セルA11をコピーします。
1024をセルA1に貼り付けます。このとき値の貼り付けをします。
これで完成です。再計算されて1024の2倍、2倍、・・・となります。
失敗例1
セルA11は上のセルA10を参照していますが、これをセルA1にコピーすると、セルA1の上のセルが無いので、参照するセルがありません。
普通にコピーをするとエラーになります。
失敗例2
セルA11の「1024」を参照するのは最悪です。
セルA11の計算結果である1024はもともとセルA1を2倍していって出てきた数です。セルA1を消すと1024も消えます。セルA1に計算式を入力しても1024を参照できるわけではありませんので無意味です。
当然エラーになります。
このように互いに参照しあって、結局答えが出ないことを「循環参照」といいます。循環参照のまま放置してはいけません。
循環参照について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
4.値の貼り付けで計算式を消す
問題
A列の計算式を消して値だけにしなさい。
解説
A列には計算式が入っています。これをコピーします。
そのまま同じ場所に値の貼り付けをします。
計算式が消えて、値になります。このように、計算式をなくして計算結果(値)だけにするには、コピーをして同じ場所に値の貼り付けをします。
5.演算貼り付け
問題
A列の数値にすべてマイナスをつける方法をできるだけ多く考えなさい。
解説
数値にマイナスをつけるにはマイナスをつけて参照します。
これをA列にコピーするとエラーになりますから値の貼り付けをします。
これで完成です。
「-1」と入力します。コピーをします。
貼り付けるときに「形式を選択して貼り付け」で、乗算つまり掛け算を選びます。
マイナス1倍されます。これは値の貼り付けの一種で計算式は残りません。
もう一度繰り返します。-1をA列の数値に乗算で貼り付けます。
すべてにマイナスが付きます。
ちなみに、計算式を利用すれば最初の数を-1にすれば終わりです。
解説は以上です。
6.動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなび実力養成講座「ファンダメンタルExcel」Program 5-9のYoutube動画を書き起こして、加筆修正したものです。