わえなび ワード&エクセル問題集 waenavi

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Excelの数式で簡単にできる得点調整の方法と傾斜配点の計算方法(正しい得点操作の方法)


先日、大学入試で不正な得点操作が問題となりました。しかし、得点調整の練習問題は、Excelの計算式の練習として最適な題材です。特に、割合の計算が苦手な人にとっては、割合をかけて補正をする練習は、基本中の基本ともいえる重要事項です(参考:割合の計算が分からない原因は、かけ算による変化を理解していないこと)。

今回は、初心者でも簡単にできる得点調整の方法と、入試やポイント換算などの傾斜配点の計算方法について出題します。なお、比率にしたがって配分する比例配分もしくは按分についてはこちらの記事をご覧ください。

 

目次

問題文のあとに簡単な操作方法を解説していますが、静止画では、わかりにくいと思いますので、最後に動画を載せています。ぜひご覧ください。

1.得点調整とは何か

入学試験やスポーツ競技、ゲームのように得点を競う場合、本人の承諾もないのに勝手にスコアを変えてはいけませんが、次のように、やむを得ずルールを定めて得点の調整を行うことがあります。これを「得点調整」または「得点換算」といいます。

  • 個人競技と団体競技のように、直接比較できない複数の競技をポイント化して合計する場合
  • そのままのスコアを採用すると、合格者が極端に少なくなるなど、重大な不都合がある場合(合格点や中央値の補正)
  • 単純に比較するのではなく、ある項目を特に重視したい場合

複合競技や入学試験では複雑な計算式を使うこともありますが、一般的には比率を使った簡単な掛け算・割り算で調整をします。

 

2.換算の基本

(1)得点率の考え方

問題

次の表で、セルB3に得点率を求めなさい。

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解説

すべて正解だった場合の満点(30点)を、得点(23点)と失点(7点)に分けた場合、得点率は、得点の構成比です。得点を満点で割ります(参考:構成比率は全体の何%?の前に、大きい数で割る感覚を鍛えなさい)。

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得点を満点で割ります(=B1/B2)。76.7%です。

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(2)換算倍率(比重)と換算点

問題

次の表で、セルB6に、75点満点に換算した点数を計算しなさい。

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解説

換算するときには、何倍すればよいかを求めるのが鉄則です。換算するときの倍率は、換算後を換算前で割ります。30点満点を75点満点にする場合は75/30です。

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75を30でわります。2.5倍となります。

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これを元の得点にかけます。23点が2.5倍されて57.5点になります。

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換算前の点数のことを「素点」、換算後の点数のことを「換算点」、換算するときの倍率のことを「換算倍率」または「比重(ウェイト)」といいます。

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(3)換算点の求め方は2通りある

問題

120点満点で、得点(素点)が83点だったとする。次の表を用いて、50、75、100、150、200点満点に換算した点数をそれぞれ求めなさい。

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解説

通常は換算倍率を考えます。例えば、120点満点のものを50点満点に換算する場合、倍率は50/120(A5/A2)です。素点83点と倍率をかけ算すると、換算点となります。

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絶対参照にします。

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これで完成です。

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(別解)

通常、換算点は元の点数である素点換算倍率をかけて求めますが、換算後の満点得点率をかけることで求めることもできます。得点率が満点に対する得点の割合を表すからです。計算の順序が入れ替わっているだけで、意味は同じです。

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120点満点で、得点(素点)が83点だった場合の得点率は、83/120=約69%です。

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これに満点をかけます。

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当然、同じ結果になります。

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(4)ポイント換算

問題

次の表で、3人の学生について[1]と[2]の合計ポイントを求めなさい。

[1] 英語スピーチ大会の評価を30倍したポイント
[2] TOEICのスコア(990点満点)を300点満点に換算したポイント

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解説

得点をポイントに換算して順位を決めるような場合には事前にルールを定め、公表する必要があります。ポイント換算のルールを定める方法は、主に2通りがあります。

まず、倍率を直接定める方法です。表現の方法はいろいろあります。

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素点に倍率(30倍)を掛けるだけです。

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もう1つは、倍率が単純な数でない場合に、何点満点に換算するかを示す方法です。この場合は、換算後を換算前で割って、倍率を求めます。

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スコア420点に、倍率をかけます。倍率は、990点満点を300点満点に換算するので、300/990です。

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合計を求めたら完成です。

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3.いろいろな得点調整の方法

(1)最低点を引き上げる方法

問題

100点満点の試験で、0点~100点の得点を、30点~100点になるように調整したい。
次の表で、B列に換算後の点数を求めなさい。

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解説

原則として、ルールとして事前に受験者に公表されていない基準で得点調整を行ってはいけません。しかし、試験を実施した結果、問題が難しすぎた、科目間で難易度の差があった、合格者が少なすぎるなど、加点をしたい場合があります。やむを得ず得点調整を行う場合は、公平性を保ったまま調整しなければいけません。

例えば、全員に対して一律30点を加算したとします(小中学生のテストは「全員30点たします」と言ったほうが簡単に納得してもらえるため、この方法でよい)。このとき、素点70点以上の人は加点によって100点以上になり、満点を取った扱いとなります。単純で分かりやすいのですが、素点が70点だった人と100点だった人が同じ評価(誤答がなかった)になってしまいます。

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そこで、100点の人は100点のままで、同じ割合で上乗せする方法を考えます。

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最高点である100点を変えずに、最低点を0点から30点に引き上げるように換算してみます。この場合、得点の幅が100点から70点になっているので、70点満点に換算するのと同じです。

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まず、70点満点に換算しますから、倍率は70/100=0.7倍です。これで70点満点になります。

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そしてこれに30点を上乗せします。

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これで完成です。

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(2)合格ラインを変える調整方法

問題

100点満点の試験で、50点~100点の得点を60点~100点になるように調整したい。
さきほどの表で、C列に換算後の点数を求めなさい。

 

解説

例えば、60点以上を合格とする試験を実施したところ、問題が難しすぎたので50点以上で合格としたい場合、50点の人が60点になるように調整します。合格者の得点の幅を考えると50点から40点に圧縮しています。倍率は40/50=0.8倍です。

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得点に40/50をかけます。

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0.8倍つまり、80点満点に換算しているので20点を加算します。

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これで、素点が50点以上の人は60点以上になって合格となります。

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50点未満の人は、50点満点を60点満点に換算します。換算倍率は60/50=1.2倍です。

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換算の計算式が2種類となるため、IF関数で分岐するか、フィルタや並べ替えを使うなどの工夫が必要です。

 

(3)累乗を用いる方法

問題

100点満点の試験で、0.7乗を4倍する得点調整を行った場合、さきほどの表で、D列に換算後の点数を求めなさい。

 

解説

例えば、平方根、つまり0.5乗したとします(=A2^0.5)。このとき、100の平方根は10なので、10点満点となります。これを10倍することによって100点満点にします(=A2^0.5*10)。素点が50点の人は、換算して71点になります。

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これを0.7乗の4倍(=A2^0.7*4)に変えます。素点が50点の人は、換算して62点になります。平方根の10倍をするよりも緩やかな調整になります。

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(4)一部の受験生に特別な加点措置を行う必要がある場合

このほかに、専願加点や特待生など、試験以外の特段の事情がある場合に、素点を一定の比率で圧縮して、圧縮した分だけ、一部の受験生について加点することがあります。例えば、0~20点の範囲で特別措置を行う場合、あらかじめ100点満点の素点を80点満点に換算しておきます。

この場合の換算倍率は80/100=0.8倍となりますから、
(換算点)=(素点)*0.8倍+(加点最大20)となります。

※下の表はイメージです。

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4.傾斜配点

(1)大学入試:満点を変える傾斜配点

問題

次の表で、5教科の得点(素点)と満点、各大学の傾斜配点をもとに換算点を求めなさい。

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解説

傾斜配点とは、科目によって換算の倍率を変えることによって、比重を調整する方法のことです。換算するには、元の得点である素点に、倍率をかけます。倍率は、傾斜配点を元の満点で割ります。

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200点満点の外国語が175点で、それを100点満点にすると、素点である175点に、200分の100をかけます。このとき、換算する前の素点と満点は、行固定の複合参照です。

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(2)高校入試:倍率を明示した傾斜配点

問題

5段階で9教科の評価が次の表のとおりであった。
A高校、B高校、C高校が定める傾斜配点のルールに従って、10行目以降にそれぞれ換算点を計算しなさい。

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解説

この表のように、傾斜配点を倍率で表現することがあります。倍率を多くしている科目は重要視しているということです。この場合は、素点に倍率をかけるだけです。

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まずは、倍率を入力します。A高校は、主要5教科を3倍とし、その他の4教科を4倍にします。B高校は、英数3倍、理科は1.5倍です。傾斜をしないその他の教科は1倍です。1と入力しないと0倍になってしまいます。

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C高校は、英語を2倍にして、その他の教科は1倍です。しかし、全部で150点満点にしなければなりません。

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ところで、5段階評価の場合、9教科で5*9=45点満点ですが、英語を2倍にするので+5点で50点満点です。これを150点満点にするには、さらに3倍する必要があります。したがって、この倍率をさらに3倍します。英語は6倍、その他の教科は3倍となります。

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換算点は、素点に倍率をかけます。このとき、素点は、行固定の複合参照です。

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(3)比率による傾斜配点

問題

調査書が65点満点で素点が52点、学力検査が500点満点で素点が385点だった。比重が 調査:学力=300:700 のとき、合計で何点になるか。

 

解説

調査書と学力検査で得点と満点、傾斜配点を表にまとめます。

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換算点は、素点の52点に、65分の300の倍率をかけます。

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右にオートフィルをします。さらに、この2つを足せば総合得点になります。

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(4)比重とポイント換算

問題

授業回数15コマの出席点、レポート5回の提出点、100点満点の中間テストと期末テストの評価が、それぞれ、次の表のとおりであるとする。これを10:15:25:50で評価をすると、学生A~Cの換算点はそれぞれ何点になるか。

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解説

回数や点数のほか、計測したタイムや距離などの記録を総合評価するには、傾斜配点によってポイントに統一します。

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さらに100ポイントを満点としたいときは、傾斜配点の合計を100にします。

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傾斜配点が10、15、25、50で、あわせて100ポイントになっています。この比率で換算します。

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例えば出席15回を10ポイントと換算するには、素点に10/15の比率をかけます。複合参照にします。

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オートフィルをして完成です。

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解説は以上です。

*補足意見*
テストの配点も、スポーツやゲームの得点も、人間が勝手に決めた得点の配分なので、ルールを決めて得点調整をすること自体何ら問題のないことです。ルールが事前に知らされていなかったり、不公平な運用をしたりすると問題が発生します。


5.動画版はこちら(無料)

この記事は、わえなび実力養成講座「Excel新演習3」Program 3-5、3-5-2、3-6 の3本のYoutube動画を書き起こして、加筆修正したものです。

また、換算、構成比率、絶対参照についての初心者向け練習問題は、それぞれ別の動画があります。

 


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