25年以上前、パソコンが一般家庭に普及する前には「ワープロ」と呼ばれる機械で日本語の文書を作るのが主流でした。現在のパソコンほどの表現力もなく、限られた機能の中で活字を打つだけのものでした。
その名残が今でも残っていて、文字の横幅を意味もなく拡張したり、縦長の文字にしてみたりと、なぜこんな変な形にしているのか疑問に思ってしまうほどの変な文書をよく見かけます。SNSやメール等でそんな引き伸ばした文字を見たことあるでしょうか??
Wordには、Wordの文字の調整方法があるのですから、基本をしっかりと習得して、正しいWord文書を作りましょう。そこで、今回は、Wordの文字の横幅の拡大縮小、文字間隔、縦位置の設定と解除の方法について出題します。
目次
1.文字の横幅の拡大縮小
(1)拡大縮小の設定と解除
問題
1行目の「ヘッダー」の横幅を90%、「フッター」の横幅を200%にしなさい。また、これらの設定を解除しなさい。
解説
範囲選択します。
拡張書式のなかの「文字の拡大/縮小」で90%を選びます。
少しだけ幅が狭くなります。
範囲選択します。
拡張書式のなかの「文字の拡大/縮小」で200%を選びます。
横幅が2倍になります。
これらをまとめて範囲選択します。
100%を選びます。これで解除になります。
(2)リストに無い倍率
問題
1行目の「ヘッダー」の横幅を110%にしなさい。また、これらの設定を解除しなさい。
解説
範囲選択します。
拡張書式のなかの「文字の拡大/縮小」で110%がないので、その他を選びます。
倍率のところに「110」と直接入力します。
これで110%になります。
解除するときは100%を選びます。
(3)文章途中で拡大縮小をしてはいけない
問題
文章の途中にある文字列を強調するために拡大してもよいか。また、文字を揃えるために、極端に縮小してもよいか。
解説
もともと文字の拡大は、短い文字列に対して設定するものです。この場合であっても、120%まで程度にとどめ、必要以上の変形をしてはいけません。
昔のワープロの時代から間違って認識している人が多くて困るのですが、文字の横幅は強調の書式ではありません。文字の横幅を大きくしたり小さくしたりする変形は、あくまで文字の変形であって、決して強調ではありません。文章中の文字が変形していると可読性が下がり、不快感を与えるおそれがあります。文字の幅を極端に変えてはいけません。
また、縮小する場合も80%程度にとどめるものとし、読みにくくなるほどの縮小をしてはいけません。
(4)縦方向の拡大縮小
問題
文字を縦倍角にしなさい。また、通常の文書でこのような文字を使用してもよいか。
解説
縦倍角とは縦方向に2倍にする設定のことです。縦に大きくするにはフォントサイズを2倍(21ポイント)にします。
これを50%にすれば、横幅が半分になりますから縦倍角になります。
ところで、ビジネス文書のタイトル部分を横倍角や縦倍角にする例が見られますが、このようなみっともない変形をするのは絶対にやめてください。繰り返しになりますが、文字を縦や横に伸ばすことは強調ではありません。特にビジネス文書で文字の変形をすることは絶対にありえませんし、相手に渡す文書であれば、受け取る相手に対して極めて失礼です。
タイトルを強調したければ単純に文字を大きくするか、ゴシック体にすれば良いのです。
2.文字間隔を広くする・狭くする
(1)文字間隔の設定と解除
問題
1行目の「ヘッダー」の文字間隔を2ポイント広げなさい。また、この設定を解除しなさい。
解説
範囲選択します。フォントの画面(詳細設定のタブ)を開きます。
文字間隔を2ポイント広げます。ちなみに、この画面で文字間隔を狭くすることもできます。
2行目のギャラリーと比較すると文字の間が広がっていることが分かります。なお、広がっている部分と広がっていない部分を見分けるのが難しいので、できるだけ限定的に使うように注意します。
範囲選択します。
フォントの画面を開き、文字間隔を標準にします。
これで通常の文字間隔になります。
(2)文字間隔が変わる場所
問題
タイトル部分を中央揃えにし、14ポイント、囲み線の設定をした。さらに、文字間隔を7ポイント広げなさい。
解説
囲み線の設定によって、文字列の左端と右端に縦線があります。
文字間隔を7ポイント広げます。
右端に7ポイント分の空きがあります。左側にはありません。
文字間隔は、文字と文字の間隔という意味ですが、正確にはそれぞれの文字の右側の余白が広がります。文字の左側は無関係です。そのため、最後の文字に文字間隔を設定すると、その右側に余白ができます。
最後の文字だけ選択します。文字間隔を標準にします。
これで右側の余白が無くなります。
(3)均等割り付けとの違い
問題
文字間隔を使用する代わりに、均等割り付けを用いて文字間隔を広げてもよいか。
解説
もともと均等割り付けは文字数を指定して、その文字数に合わせて縦位置を揃えるために設定するものです。
それに伴って文字間隔が広がることがありますが、これは他の文字列と縦位置を合わせるために広がっているだけであり、単独で広げる機能ではありません。
しかし、前述のように文字間隔は右側の余白を広げる機能なので、その代わりに均等割り付けで文字間隔を広げるほうが楽な場合もあります。本来の均等割付の使い方ではありませんが、Wordの均等割付は文字間隔を広げるために使うこともあります、ただし、本来の使い方ではないことを理解したうえで、限定的に用いたほうが良いです。
3.上下の位置を上げる・下げる
(1)縦位置の設定と解除
問題
1行目の「ヘッダー」の部分の位置を3ポイント上げなさい。また、その設定を解除しなさい。
解説
Wordの文章に限らず、横書きの文章にはベースライン(Base Line)と呼ばれる基準線があり、その上に文字列が乗っています。
範囲選択します。フォントの画面(詳細設定のタブ)を開きます。
位置を3ポイント上げます。ちなみに、この画面で位置を下げることもできます。
標準にすれば元に戻ります。
(2)上付き・下付きとの違い
問題
赤色の文字になっている2か所について、それぞれ、どのような書式が設定されているか述べなさい。
解説
範囲選択します。
上付きの設定をします。
「上付き」「下付き」は、その行の範囲内で、文字の大きさを半分以下にして、上揃えまたは下揃えにする設定です。
範囲選択します。フォントの画面(詳細設定のタブ)で3ポイント下げます。
縦位置の変更はフォントサイズを変えずに縦位置を変える時に使います。
(3)半改行をした時の行間
問題
さきほどの問題で、5ポイント下げたところその行だけ広がった。行間を調整する方法を述べなさい。
解説
この図のように文字の半分を下げることを「半改行(はんかいぎょう)」ということがあります。Wordの行の高さ(ピッチ)は、用紙の大きさと余白、1ページ当たりの行数で決まります(参考:【Word】行グリッドが存在する理由と、行間と行の高さを調節する方法)。行の高さは1行単位で確保されるため、半改行などによってその行の高さを超えると、2行分の幅になります。これを「行グリッド」といいます。
段落の画面を開いて、「1ページの行数を指定時に文字をグリッド線に合わせる」のチェックを外します。行間は狭くなりましたが、他の行も狭くなってしまいます。
半分下がっているのは、その記号に注目してほしいからであって、目立たなければ意味がありません。行の間が詰まっていたら目立ちません。行間を1.5行にします。これで読みやすくなります。
(4)縦位置中央揃えとの違い
問題
文章中に図形を挿入した。この位置を調整するのに「フォント」の縦位置を下げるのは正しい操作と言えるか。
解説
行内テキストボックスを挿入すると上にずれます(参考:【Word】伸縮自在の空欄で穴埋め式問題を美しく作る方法(テキストボックスの正しい使い方))。文章中に図形を挿入すると、ベースラインに合わせて配置されるため、1行の高さより大きい図形は中心より上にずれることになります。
これを調整するために、縦位置を下げるのは間違いです。文章中に図形を挿入するのがあらかじめ分かっている場合、その図形は、文章の中央に揃うようにするべきです。段落を選択します。
段落の画面(体裁タブ)で、文字の配置を中央揃えにします。
これで完成です。
解説は以上です。