グラフを作成するには必ず範囲選択(グラフで使用するデータの範囲の指定)をしなければなりません。やみくもに選択してもうまくいきません。単純な表についてグラフを作成する場合は、比較できない項目を除外して範囲選択すればよいことはすでに別の記事で説明していますが(参考:【Excelグラフ】何を比較して何を主張するために、どの範囲を選択するのか)、これが複数系列になるともっとややこしくなります。
縦と横に分けて必要な項目を考えます。比較しようとしている項目を考えなければなりません。さらに、行列の切り替えも考慮する必要があります(参考:【Excel】複数系列のグラフで「行列の切り替え」をするのはなぜか?)。
そこで、今回は、複数系列グラフを作成するときの範囲選択について出題します。
- 文字列を挿入するグラフ要素(グラフタイトル・軸ラベル・データラベル・テキストボックス)
- 棒グラフと折れ線グラフのグラフ要素の練習問題10問
- 複数系列のグラフで「行列の切り替え」をするのはなぜか?
- グラフがうまく作成できないのは範囲選択が間違っているからです
- 複数系列グラフのデータソース、項目名、系列名を手動で変更する方法
- 【Excelグラフ】凡例の改行、数値軸のマイナスの扱い、系列の重なりなど
- 積み上げ棒グラフと区分線、合計の表示、100%積み上げ
グラフまとめ グラフを作成するための「理論」を本気で勉強すべきである
目次
問題文のあとに簡単な操作方法を解説していますが、静止画では、わかりにくいと思いますので、最後に動画を載せています。ぜひご覧ください。
1.1系列のグラフの範囲選択(復習)
グラフの範囲選択が苦手な人はまず、1系列のグラフの練習をしましょう。詳しくは、次の記事をご覧ください。
2.項目数を数える・系列数を数える
問題
次の表を用いて、グラフの違いを意識しながら、2つのグラフをかきなさい。
解説
項目軸が1行と2行になっています。
また、グラフの種類がマーカーありとなしです。
左のグラフは、1月から3月までが軸の項目となっています。この場合、一番左の列と1月から3月までを選択します。
一番左の系列名は必ず選択しますので、項目が3つであれば、4列の選択となります。項目の数+1の範囲選択となります。
次に系列の数を数えます。折れ線が4本あるので、系列は4つで、合計を除いて4行選択すればよいことがわかります。
項目は必ず選択しますので、系列が4つであれば、5行の選択となります。系列の数+1の範囲選択となります。
項目名は月だけで、4行分の系列と合わせて選択します。5行4列です。
マーカー付き折れ線グラフを挿入します。
行列の切り替えをします(参考:【Excel】複数系列のグラフで「行列の切り替え」をするのはなぜか?)。
今度は、項目名を四半期と月にして選択します。このとき、左上のセルは2つとも選択します。したがって、6行4列です。
マーカーのない折れ線グラフを挿入します。
行列の切り替えをします。これで完成です。
項目名と系列名が交わる左上のセルは必ず選択します。項目行が2行であれば左上のセルも2つです。
3.行単位・列単位で考える
問題
次の表を用いて、グラフの違いを意識しながら、2つのグラフをかきなさい。
解説
左のグラフは4月から6月、右のグラフは1月から3月です。
また、左は4種類の商品、右は3種類の商品です。行列が逆になっています。
左のグラフは4つの商品が軸の項目になっています。
系列は3つで4月から6月までです。
左上のセルは必ず選択します。
縦は5行分、横は4列分の選択となります。
横棒グラフを挿入します。
右のグラフは1月から3月までが軸の項目になっています。
系列は3種類でカレー、ラーメン、パンです。
左上のセルは必ず選択します。
4行4列の選択となります。チャーハンの行は選択しません。
横棒グラフを挿入します。これで完成です。
範囲選択に含まれるか、含まれないかは、必ず、行単位、列単位で考えます。
4.系列を削除する
問題
次の表を用いて、グラフの違いを意識しながら、2つのグラフをかきなさい。
解説
ラーメンとパンの2つで、4月から12月のデータを用いているグラフと、四半期の合計を用いたグラフです。
左のグラフは、4月から12月までが軸の項目となっていて、項目は9個です。
系列はラーメンとパンの2つだけです。
左上のセルは必ず選択します。
横向きに4月から12月まで、3行選択します。
縦棒グラフを挿入します。
右のグラフは、項目がラーメンとパンの2つです。
系列は1から4の4つです。
左上のセルは必ず選択します。
とびとびになりますが、1つずつ選択していきます。
縦棒グラフを挿入します。
行列を切り替えます。これで完成です。
別解
4つの項目をすべて選択します。セルが連続しているため比較的選択しやすくなります。
2つの商品を削除します。
行列を入れ替えます。このように、系列を削除するという方法もあります。
5.表の形から選択する範囲を判断する練習
問題
次の各設問の表を用いて、それぞれグラフをかこうとしている。範囲選択をするときの注意点を述べなさい。また、どのようなグラフがかけるか、できるだけ多く考えなさい。
(1)
(2)
(3)
(4)
(1)縦横に項目があり、右または下に合計があるパターン
合計を選択するかどうかに注意します。
誤答例
原則として、縦横の項目、データと、合計を同時に選択してはいけません。
それぞれの店のデータと合計は、並べて大小関係を比較するのに適していません。
比較してはいけないデータを、同じ場所に並べて、同じ種類のデータであるかのような見せ方をするのは間違いです。
正解例
最もわかりやすいのは合計を除いて範囲選択することです。
合計がなければ、3つの店の比較ができます。
また、行列の切り替えをすることもあり得ます。
原則として合計を除外して選択します。
逆に項目と合計だけを選択することもあります。このときは1系列のグラフとなります。
2列選択します。
折れ線グラフにして5か月間の推移を表したり、円グラフにして5か月の内訳を表すことができます。
合計も含めてすべて選択する場合は、合計だけ選択して、グラフの種類を折れ線に変えます(参考:【Excel】グラフの種類を変更して棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた複合グラフを作る)。
集計行を含めて選択する場合には、異なる種類であることが分かるように、グラフの種類を変えます。
(2)総合計と小計があるパターン
小計を選択するのかしないのかに注意します。
誤答例
一番左にある総計は選択してはいけません。
また、途中にある小計も選択してはいけません。
正解例
小計と合計は除外しますが、一番左の商品名は選択します。
これで6か月のグラフになります。
月ごとではなく、第1四半期と第2四半期で比較することもできます。小計を選択する場合は、月を選択してはいけません。この場合も、一番左の列は必要です。
最初の3か月より次の3か月のほうが下がっています。
もちろん、総合計だけを選択して、1系列のグラフをかくこともあります。
(3)比較の目的が明らかに分かる表の場合
誤答例
目標と各月のデータを同時に選択してはいけません。
正解例
この表は、目標金額が3か月分の目標を立てているものと考えられます(各データの平均が20万前後で、目標が60万前後)。
そして、達成率を計算していることなどから考えて、四半期合計が目標を超えたかどうかという比較をしようとしている表であることは明らかです。
このように、比較の目的がはっきりしている表の場合、その目的が分かるように範囲選択します。
商品名と目標と四半期合計の3列を選択します。
目標の列を抜いて、各月のグラフを作ることは当然可能です。
また、達成率だけのグラフを作ることも考えられます。
(4)比較しない項目は除外する
誤答例
この表は、単価に売上個数をかけて合計金額を求めています。
売上個数と単価を比較するグラフを作っても意味がありません。
正解例
単価は計算をするための前提となる項目です。
単価のように比較には使わない項目があるパターンでは、原則として選択範囲から除外します。
例えば、1月から6月までの範囲を選択するという考え方があります。
メニューが3つありますが、そのうちの2つだけを比較するということもあります。
また、売上金額だけを比較することもあります。
解説は以上です。
6.動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなび実力養成講座「ファンダメンタルExcel」Program 9-27、9-28 のYoutube動画を書き起こして、加筆修正したものです。
- ファンダメンタルExcel 9-27 複数系列のグラフの範囲選択1(基本例題)【わえなび】(ファンダメンタルExcel Program9 グラフの基礎) - YouTube
- ファンダメンタルExcel 9-28 複数系列のグラフの範囲選択2(特訓問題)【わえなび】(ファンダメンタルExcel Program9 グラフの基礎) - YouTube
ブログ記事と動画解説で使用しているExcelファイルは、わえなび公式サイトで配布しています。「サンプルファイル(ZIP)」をダウンロードします。
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