Excelで合計を求めるときにオートSUM(SUM関数)を用いることがありますが注意点が2つあります。
- SUMが使えるように表を作る
- 合計だからといってSUMとは限らない
表を作るときにSUMを意識し「SUMが使えるような表」を作ることが大事です。表の作り方を工夫して、できるだけSUMが使いやすい表を作るべきです。そして、合計を求めるときに、何も考えずに適当にオートSUMボタンを押せば良いというものではありません。SUMを使いたいのであれば、表の意味を考えるべきです。
そこで、今回は、SUM関数で合計を求める際の注意点について出題します。
目次
問題文のあとに簡単な操作方法を解説していますが、静止画では、わかりにくいと思いますので、最後に動画を載せています。ぜひご覧ください。
- 1.文字列を含むセルは除外される
- 2.合計とはいってもSUMとは限らないパターン
- 3.合計を計算するべきか、それとも参照するべきか
- 4.合計だからSUMを使うのではなく「足し算」だからSUMを使う
- 5.合計に加えてはいけないもの
- 6.数量合計と売上合計
- 7.小計と総合計
- 8.交互に並んでいる数の合計
- 9.目標達成率の「目標」とは何か
- 10.合計と合計の差額
- 11.SUMを使った構成比率
- 12.動画版はこちら(無料)
1.文字列を含むセルは除外される
問題
次の表で合計を求めなさい。また、第2回の数学を欠席した場合はどのようにすればよいか。
解説
合計を求める表の基本的なパターンには、縦計、横計、そしてL字型の縦計・横計を両方出すパターンがあります。SUM関数を使えば一発で合計が出ます。
合計の部分を含めて範囲選択します。
オートSUMのボタンを押します。これで完成です。
ここで第2回の数学を欠席にします。合計が減りました。
本来、数値を入力する場所に文字列を入れることは正しくありません。
できるだけ避けるべきですが、空欄にすると、試験を受けなかったのか、もともと受ける資格がなかったのかがわからないので、やむを得ず、このように得点が入れなかった理由を書き込むことがあります。
SUM関数の範囲の中に文字列があったときは、計算から除外されます。数字から始まっていたとしても、文字列を含むものはすべて除外です。
2.合計とはいってもSUMとは限らないパターン
問題
次の表で合計を求めなさい。
解説
SUM関数は足し算を省略したものです。12万円を何回も足す場合の合計は、足し算なので、SUM関数ですが、12万円を8倍すればよいときの合計は、掛け算なので、SUMは無関係です。
単価と数量は単位が違います。原則として単位の違うものにSUM関数は使えません。
横の合計は、単価*数量で求めるものなので、掛け算です。
縦計は足し算をするものなので、オートSUMが使えます。
単価を足しても意味がないので空欄にします。
単価のように、単位量を足す計算は全く意味がないので、合計を求めてはいけません。
3.合計を計算するべきか、それとも参照するべきか
問題
次の表でそれぞれ合計を求めなさい。
解説
この表のように合計が上にあって、その内容が下にあるというパターンがあります。必ずしも合計が右や下にあるとは限りません。
オートSUMのボタンを押します。かっこの中にカーソルがあります。
この状態でドラッグします。
確定します。これで完成です。
ちなみに、下に合計を出す欄があって、その結果を上にも表示させるパターンの場合、下に合計を出しておいて、上は参照するだけです。
オートSUMを絶対に2回使ってはいけません。
4.合計だからSUMを使うのではなく「足し算」だからSUMを使う
問題
次の表で、勝ちを3点、引き分けを1点として、各チームの試合数と合計点数を求めなさい。また、7行目にチームAの勝ち点を表示しなさい。
解説
試合数は勝ちと引き分けと負けの数を足します。これはSUM関数が使えます。オートSUMのボタンを押します。
オートフィルをします。
このとき、1行目の勝ち点の合計をしても意味がないので空欄にします。
次に、合計点数を求めます。合計と表現していますが、この表では掛け算を使います。3点が3回と、1点が3回です。勝ち点は絶対参照です。
オートフィルをします。
これで完成です。このように、合計と書いてなくてもSUMを使うこともあれば、合計と書いてあるのにSUMを使ってはいけない場合があります。
最後に、チームAの勝ち点ですが、すでに表の中にある場合は、これを参照します。
5.合計に加えてはいけないもの
問題
次の図で、A選手の合計スコアを求めなさい。
解説
合計とはいっても種類の異なるものを足してはいけません。表の形から判断して、明らかに合計から除外するものは、除外して求めます。
例えば、合計をする3日間のスコアの前に、目標などの関係のないデータがある場合は、除外して合計を出します。
オートSUMのボタンを押します。範囲を直します。
これで完成です。
6.数量合計と売上合計
問題
次の図で、合計を求めなさい。
解説
単価の後の、6月、7月、8月は数量であると考えられます。したがって、この3つの合計を出します。オートSUMのボタンを押します。範囲を直します。
これで完成です。
なお、合計の列を含めて範囲選択をする方法でも構いませんが、単価の列を含めてはいけません。
オートSUMのボタンを押します。
別解
ちなみに、金額の合計を求める場合は、まず、先ほどと同じように、個数の合計を求めます。
このSUM関数の後に、単価をかけます。
これで完成です。
7.小計と総合計
問題
次の図で、合計と総計を求めなさい。
解説
行の途中に合計を求めることがあります。合計の範囲を間違えないように注意します。総合計は小計を足します。
中学生の合計を求めます。オートSUMのボタンを押します。1年から3年までの合計です。
確定します。次に高校生の合計を求めます。オートSUMのボタンを押します。1年から3年までの合計です。
確定します。総計を求めます。中学生の合計55人と高校生の合計61人と大学生153人を足せば終わりです。
これを、あえてオートSUMを使って求めるのであれば、Ctrlキーで3つを選択します。
8.交互に並んでいる数の合計
問題
次の図で、受験者Bの合計得点を求めなさい。
解説
この表は、受験者の氏名、テストの回数、教科の3つの項目で、得点を入力しています。Excelの表は、縦と横しかない2次元の表なので、3つ以上の項目があると、データが離れてしまいます。
このように項目が連続していない場合、連続しないセルの合計を求めることになります。
英語の合計を求めます。オートSUMのボタンを押します。
Ctrlキーで、英語を3つ選択します。
これで完成です。右にオートフィルをします。
このとき、相対参照によって右に移動します。
9.目標達成率の「目標」とは何か
問題
次の図で、数量合計・金額合計及び達成率を求めなさい。
解説
合計を求めるときには、合計の範囲を考えます。この場合、数量合計は6月、7月、8月の合計です。オートSUMのボタンを押します。
範囲を直します。
金額の合計は、数量の合計に単価をかけますが、すでに数量合計を求めていますので、単に掛け算をするだけです。
最後に達成率ですが、目標となる金額があります。これと3か月の金額の合計が近いです。これを比べて達成率を出そうとしていることは明らかです。
実績/目標です。
オートフィルをします。これで完成です。
10.合計と合計の差額
問題
次の図で、収入と支出の差額を求めなさい。
解説
収入の合計を求めます。オートSUMのボタンを押します。
支出の合計を求めます。オートSUMのボタンを押します。家賃からその他までです。
収入から支出を引きます。このように小計から小計を引くこともあります。
これで完成です。
11.SUMを使った構成比率
問題
次の図で各年代の人数の構成比率を求めなさい。
解説
構成比率は、内訳/合計です。したがって、合計を求める必要があります。オートSUMのボタンを押します。
合計人数は536人です。これで構成比率を求めます。合計は絶対参照です。
これで完成です。
別解
ところで、セルC2に合計を求めたとします。オートSUMボタンを押します。
ここに536人と出ます。
この数式の前に、「B2/」を付け足したら、合計で割ったことになりますので、構成比率になります。
この数式をオートフィルをしてもうまくいかないのは、合計が絶対参照ではなく、相対参照のため合計の範囲が下に下がっているからです。
SUM関数で絶対参照にするときには、かっこの中を全部選択して$マーク(F4キー)を付けます。
オートフィルをします。これで完成です。
解説は以上です。
12.動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなび実力養成講座「ファンダメンタルExcel」Program 6-3、6-4、6-4-2 のYoutube動画を書き起こして、加筆修正したものです。
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