ExcelのオートSUMのボタンには、合計、最大、最小のほかに、平均と数値データの個数があります。操作方法は同じです。
AVERAGE関数(アベレージ)は平均を求める関数であり、オートSUMボタンを用いて求めることができますが、単に求めることができたらそれで良いというものではありません。「平均」だからといって必ずしもAVERAGEを使うとは限らないことを理解しなければなりません。
COUNT関数(カウント)は数値が入力されているセルの個数を数える関数です。そして、合計を求めてそのセルの個数(COUNT)で割るのがAVERAGE関数です。したがって、求める平均の個数が、セルの個数(COUNT)と一致しない場合はAVERAGEを使ってはいけません。
今回は、平均の関数AVERAGEと数値の個数COUNTの練習問題と、AVERAGE関数の注意点について出題します。
目次
問題文のあとに簡単な操作方法を解説していますが、静止画では、わかりにくいと思いますので、最後に動画を載せています。ぜひご覧ください。
- 1.AVERAGEとCOUNT(平均と数値の個数)
- 2.AVERAGEを使うときにはCOUNTを意識すること
- 3.計算結果が妥当かを確認すること
- 4.間違い探し!AVERAGEで絶対にやってはいけないこと
- 5.移動平均、加重平均
- 6.動画版はこちら(無料)
1.AVERAGEとCOUNT(平均と数値の個数)
問題
次の表で合計、平均、受験者数を求めなさい。また、数学が全員欠席だった場合、計算結果はどうなるか確認しなさい。
解説
オートSUMボタンで合計を求めます。
次に平均を求めます。
範囲を直します。
確定します。オートフィルをします。
横も同じように平均を出します。
合計を範囲に含めてはいけません。
オートフィルをします。これと同じように受験者数を求めます。
数値の個数を求めます。
合計や平均を範囲に含めてはいけません。
オートフィルをします。これで完成です。
合計はSUM、最大はMAX、最小はMIN、平均はAVERAGE、数値の個数はCOUNTです。
- 合計 =SUM()
- 最大 =MAX()
- 最小 =MIN()
- 平均 =AVERAGE() アベレージ
- 個数 =COUNT() カウント
次に、数学を全員欠席にします。合計と受験者数はゼロになりますが、平均はエラーになります。数値が全くない場所で平均を出すとエラーになります。
これは、全部のセルを空白にした場合も同じです。
オートSUMのボタンにある関数はすべて、数値以外は除外されます。数値以外のデータが入っているセルは範囲に入っていても、範囲に入っていないものとみなされます。したがって、COUNTも数値だけの個数になります。また、COUNTがゼロの場合、AVERAGEはゼロで割り算をすることになるのでエラーになります。
2.AVERAGEを使うときにはCOUNTを意識すること
問題
ボール投げを3日に分けて実施して、飛距離を計測した。1日ごとの平均を出した結果を次の表のようにまとめた。この表を用いて13回の平均記録を求めなさい。
解説
平均は個数で割り算をします。個数はCOUNTで求めた値と同じです。したがって、AVERAGEを使うときにはCOUNTを意識します。
例えば、このような表の場合、この3つで平均を求めるのは適切ではありません。
平均の部分をCOUNTをすると3になります。AVERAGE関数を用いるということは3で割るということになります。これは間違いです。3日間で13回ボールを投げているので、13で割り算をするのが正しいです。
したがって、13回の合計を求めてから、合計を回数で割り算をします。
平均を求めるからと言って、AVERAGE関数を使えばいいというわけではありません。原則として、割り算を使って求めるもの(単位量当たりの大きさ、割合、パーセンテージ、平均値など)に対してAVERAGEを使ってはいけません。
3.計算結果が妥当かを確認すること
問題
平均を求めるところ、誤って合計を求めてしまった。これを直しなさい。
解説
平均AVERAGEは必ず、最大値MAXと最小値MINの間の値になります。
70点台や80点台の得点を平均して、300点を超えることはありません。最低が75、最高が86であればその間に平均が入るはずです。平均を求めたときには、その範囲に含まれるかどうかを確認します。
平均を求めるところ、誤って合計を求めてしまった場合、本来ならばこれを消してもう一度やり直すべきですが、範囲が同じであれば、関数の名前をAVERAGEに変えれば終わりです。AVERAGEのつづりは下にも表示されます。
オートフィルをします。これで完成です。
4.間違い探し!AVERAGEで絶対にやってはいけないこと
問題
ボール投げを3日に分けて15回実施しました。そのうち2回はファールで、記録はありませんでした。ファール以外の13回の平均記録を求めようとしています。以下の操作で、誤りを指摘して直しなさい。
誤った操作方法
1日目の平均を出します。
2日目の平均を出します。
3日目の平均を出します。
これらを平均したところ、平均記録は24となりました。
しかし、AVERAGE関数を使って13回の平均を求めると全く異なる値になりました。
解説
(1)平均に合計を含めてはいけない
まず、1日目の平均を求めるときに、自動で表示される点線の枠を信用してそのまま確定していますが、これはいけません。
10メートルから15メートルの記録しかないのに平均が22メートルというのは絶対にありえません。
この状態だと6個の平均を求めていることになります。5回の平均に、合計を含めてはいけません。
(2)計算式同一推定の原則
次に、2日目の平均を出すときに、1回目と2回目を含めずに平均をしています。これは間違いです。
1回目に数値を入れても平均が変わりません。
AVERAGEに限らず、オートSUMボタンの関数は、範囲に数値が入っていないときは、Excelがそれを判断して除外します。1回目と2回目の記録がないことが確定しているからといって、勝手に、AVERAGEの範囲から除外するのは間違いです。
Excelの計算式はオートフィルを使うのが原則ですから、同じ行または同じ列であれば、同じ計算式が入っているものと推定されます。1000行、2000行あるデータの計算式をいちいち確認することができないからです。
途中で違う計算式が入っているのは迷惑です。
この推定があるため、コピーをして再利用する可能性もあります。例えば、コピーをして、4日目から6日目の枠を用意する可能性がありますが、5日目が必ずファールになるとは限りません。できるだけ計算式を統一して、わかりやすくしておくのが鉄則です。
13回のデータの平均を求めるときも、すべて選択しなければなりません。
(3)平均だからといってAVERAGEとは限らない
全部の平均を求めるときに、平均の平均を求めています。13回の平均として正しくありません。
原則として割り算を使ったデータ、例えば、単価や人口密度などの単位量当たりの大きさ、パーセンテージ、平均値をさらに平均するときは、AVERAGE関数ではありません。
(4)模範解答例
1日の平均を求めます。この範囲は合計は除外しなければいけません。範囲を直します。
数値データがあるかないかにかかわらず、このままオートフィルをします。
例えば、「1日の平均をその日の記録として採用し、その結果を用いて3日間の平均値を最終的な記録とする」といったルールであれば、この計算方法で構いませんが、この計算で出てきた結果は、13回の平均ではありません。
13回の平均を求めます。この場合も13個だけでなく、ファールの部分も含めて平均を求めます。
5.移動平均、加重平均
移動平均と加重平均についてはそれぞれこちらの記事をご覧ください。
- 【Excel関数】移動合計や移動平均を求める前に「移動とは何か」を理解せよ - わえなび ワード&エクセル問題集
- 【Excel関数】加重平均とは「重み」が異なることを考慮した平均のことです - わえなび ワード&エクセル問題集
解説は以上です。
6.動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなび実力養成講座「ファンダメンタルExcel6」Program 6-10、6-11 の2本のYoutube動画を書き起こしたものです。
- ファンダメンタルExcel 6-10 AVERAGEとCOUNT(平均と数値の個数)【わえなび】 (ファンダメンタルExcel Program6 オートSUM) - YouTube
- ファンダメンタルExcel 6-11 AVERAGEで絶対にやってはいけないこと【わえなび】 (ファンダメンタルExcel Program6 オートSUM) - YouTube
ちなみに、オートSUM関連の動画は全12回のシリーズです。すべて無料公開しています。ぜひご覧ください。
ファンダメンタルExcel 6 オートSUM(全12回)【わえなび】 - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PLRaY8kd5CoxMwUSAR-iY74jGRwV3M55s_