複数の大学で実施された研究調査によると、日本の学生はグラフ作成や読み取りの能力が不足していて、学校での教育が遅れているとのことです。しかし、学生の声を代弁するならば、「学校の教員もExcelのグラフを教えるほどのスキルがないのでは?」と言いたくなります。学生のスキルを調査する前に、教員のスキルを調査すべきではないでしょうか?
そこで、今回は、Excelのグラフ作成スキルを測る問題として、グラフの完成イメージだけを見て、Excelでグラフを再現する問題を中心に出題します。すべてExcel検定3級レベルです。この問題を教えられる教員が全国に何人いるのでしょうか?
- グラフの種類を変更して棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた複合グラフを作る
- 2軸の複合グラフを作る方法とパレート図の作り方
- Excelグラフ間違い探し!どこを編集したらよいかを見つける練習問題
- Excelグラフ作成の確認テスト!グラフを見て元の表を作る練習問題
- Excelの棒や折れ線グラフを「重ねる」とは言っても重なり方がいろいろあるんです
- プレゼンや資料のグラフを作るコツは強調ではなく統一感である
- 棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフを利用して図形を描く
グラフまとめ グラフを作成するための「理論」を本気で勉強すべきである
目次
問題文のあとに簡単な操作方法を解説していますが、静止画では、わかりにくいと思いますので、最後に動画を載せています。ぜひご覧ください。
第 1 問
問題
ある1つの表を作成して、それをもとに2つのグラフを作成しようとしている。
次の2つのグラフを作成する場合、元の表はどのような表と考えられるか。Excelで表を作成したうえで、2つのグラフを作成しなさい。
解説
折れ線グラフと横棒グラフは両方とも、1系列のグラフです(参考:【Excel】グラフの作り方を勉強したい初心者に何を説明するべきか?)。
横棒グラフは、1月から6月までの数値をグラフにしたものです。これを入力します。
6か月の合計も求めておきます。
ちなみに、合計売上とあるので、これは売上金額であると考えられます。
また、折れ線グラフには7月の予測の数値があります。したがって、これも入力しておきます。
カンマ区切りにします。
4月から6月と、7月を選択して、折れ線グラフをかきます(参考:【Excelグラフ】何を比較して何を主張するために、どの範囲を選択するのか)。
このときマーカー付きであることに注意して、マーカー付き折れ線グラフを挿入します。
1月から6月を選択して、横棒グラフをかきます。
いずれも範囲選択に合計を含めてはいけません。
グラフを挿入したら、原則として、大きなグラフ要素から順に書式設定します(参考:Excelグラフ間違い探し!どこを編集したらよいかを見つける練習問題【グラフ作成スキル強化特訓】)。
折れ線グラフを修正します。グラフタイトルを入力します(参考:【Excel】文字列を挿入するグラフ要素(グラフタイトル・軸ラベル・データラベル・テキストボックス))。
縦軸を選択します。縦軸の最小値を10000、最大値を26000にします(参考:【Excelグラフ基本】縦軸と横軸の最大最小、表示単位、目盛の設定の基本練習)。
マーカーの形状を四角にします。さらにマーカーを大きくします(参考:【Excel3級レベル】棒グラフと折れ線グラフのグラフ要素の練習問題10問)。
折れ線のうち、7月だけを選択します。
線を点線にします。
さらにマーカーをなしにします。
終点を矢印にします。さらに矢印のサイズを大きくします。
この状態でデータラベルを右側に追加します。
フォントサイズを大きくします。これで完成です。
次に縦棒グラフを修正します。グラフタイトルを削除します。縦軸を選択します。1月から順に並ぶように反転します(参考:【Excelグラフ】縦軸横軸の交点と反転、軸目盛ラベルの特訓問題_グラフの軸を徹底的に理解せよ!)。
系列を選択して、データラベルを追加します。
フォントの色を白色にします。
棒グラフ(グラフエリア)を選択します。テキストボックスを挿入します。
表で求めた合計金額を直接、入力します。
別解
テキストボックスをもう1つ挿入して、セルを参照するという方法もあります(参考:【Excel】文字列を挿入するグラフ要素(グラフタイトル・軸ラベル・データラベル・テキストボックス))。
合計のセルを通貨スタイルにすれば、連動してテキストボックスにも円マークがつきます。これで完成です。
第 2 問
問題
ある1つの表を作成して、それをもとに2つのグラフを作成しようとしている。
次の2つのグラフを作成する場合、元の表はどのような表と考えられるか。Excelで表を作成したうえで、2つのグラフを作成しなさい。
解説
円グラフと縦棒グラフは両方とも、1系列のグラフです。
円グラフにはパーセンテージが表示されています。これをもとに項目名とパーセンテージを入力します。
縦棒グラフには5月のデータラベルが表示されています。縦軸の単位は万なので、5月の金額は150万円です。
5月以外について、パーセンテージから金額を求めます。
例えば、1月の金額を求めるには、5月の金額をパーセンテージで割って、絶対参照にしてから、1月のパーセンテージをかければよいです(参考:構成比率は全体の何%?の前に、大きい数で割る感覚を鍛えなさい)。
項目名と金額を選択して、縦棒グラフを挿入します。
パーセンテージは選択しません。
さらに、円グラフも挿入します。
両方ともグラフタイトルと凡例を削除します。
縦軸の表示単位を万にします。表示単位ラベルは非表示にします。
さらに縦軸ラベルを追加します。文字の方向を横書きにして上に動かします。
文字を入力します。
目盛の間隔は50万円ですが、25万円ごとに外向きの補助目盛があります。
目盛間隔50万、補助目盛の間隔を25万にします。
さらに目盛の向きを外向きにします。
1つだけ系列を選択します。データラベルを追加します。
これで完成です。
円グラフもデータラベルを追加します。
分類名とパーセンテージ(小数第1位)にします。
これで完成です。
第 3 問
問題
次のようなイメージの折れ線グラフを作成するにはどのような表を作ればよいか。表とグラフを作りなさい。ただし、色や大きさは問わない。
解説
作りたいグラフの完成イメージがあって、Excelでグラフを作りたい場合、データを表の形にして入力する必要があります。
このとき、軸のあるグラフの場合は、項目の軸を見て項目名を確認します。
そして、1つの項目に対してデータはいくつあるかを確認します。この場合は、項目が6つで、それに対して、折れ線が3本あるので系列は3つと考えられます。
項目と系列を縦と横に並べて入力します。さらに、データ(得点)を入力します。
次にグラフの種類を考えます。折れ線の場合は、マーカーがあるかないかで種類が異なることも考慮します。
マーカー付き折れ線グラフを挿入します(参考:【Excel3級レベル】棒グラフと折れ線グラフのグラフ要素の練習問題10問)。
グラフを挿入したらグラフ要素を編集しますが、必ず外側から編集します。
まずはグラフエリアとグラフタイトルです。グラフエリアの大きさを調節してから、フォントサイズの調節をします(参考:【Excel】グラフの書式はグラフエリアを最初に設定しなければならない)。
グラフタイトルと凡例を削除します。
次に軸を決定します。最大値を100にします。
データラベルはすべて表示します。
一番右のデータラベルは移動して、系列名も表示します。
これで完成です。
第 4 問
問題
次の表は、各店舗の商品別売上数量の目標と実績である。
セル範囲A8:G22に次のようなグラフを作りなさい。
解説
すでに表が入力されている場合は、完成イメージの項目の軸を見て項目名を確認します。
そして、1つの項目に対してデータはいくつあるかを確認します。この場合は、項目が4つで、2行あります。棒は1本ずつですが、3つの系列が積み上げられているものと考えられます。
系列と項目を確認したら、行と列に分けて選択範囲を決定します。項目は4つで2行あります。
系列は3つです。
したがって、行は、3行+項目名2行で、あわせて5行です。
列は、4行+系列名で、あわせて5列です。
交わる部分が選択範囲です。
次にグラフの種類を考えます。特に、積み上げの場合は数値の軸の最大値が100%になっているかを見て、通常の積み上げか100%積み上げかを判断します。
範囲選択します。
通常の積み上げ横棒グラフを挿入します。
グラフの作成範囲が定められている場合、Altキーを使いながら、セルの境界線に合わせます。しかし、例えば、影をつけるとセル範囲をオーバーすることがあります(参考:【Excel】グラフの基本操作、挿入と削除のトレーニング、作成範囲と印刷範囲)。
厳密にセルの境界線に合わせる必要がないのであれば、セルの境界線より少し内側にしておきます(ただし、検定試験の場合は内側すると不正解になることもありますので確認しておいたほうがよいでしょう)。
Altキーを使いながら、A8:G22にあわせます。
少し小さめにしておきます。
グラフを挿入したらグラフ要素を編集しますが、必ず外側から編集します。
まず、グラフタイトルを削除します。グラフエリアは角が丸くなっています。
次に、軸は縦軸が反転しています。
横軸はラベルを上端にします。下になります。これで完成です。
解説は以上です。
動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなび実力養成講座「Excel新演習5」Program 5-3、5-4 の2本のYoutube動画を書き起こして、加筆修正したものです。
- Excel新演習5・グラフの重要事例 5-3 グラフ作成の確認テスト1(1系列)【わえなび】 - YouTube
- Excel新演習5・グラフの重要事例 5-4 グラフ作成の確認テスト2(複数系列)【わえなび】 - YouTube
ブログ記事と動画解説で使用しているExcelファイルは、わえなび公式サイトで配布しています。「サンプルファイル(ZIP)」をダウンロードします。
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