オートSUMボタンにある合計や平均は、通常、決まった範囲の合計や平均を求めます。次の図のように同じ期間の合計や平均を求めて比較します。このとき、オートフィルによってその範囲を変えることができますが、これはExcelの相対参照の機能を用いて数式をコピーしているだけです。そして、この範囲同士が重なることはありません。
これに対して、項目に何らかの順序があって、その順序に従って少しずつずらしながら合計や平均の範囲を求めることがあります。これを移動合計、移動平均といいます。今回は移動合計、移動平均の考え方、求め方について出題します。
目次
問題文のあとに簡単な操作方法を解説していますが、静止画では、わかりにくいと思いますので、最後に動画を載せています。ぜひご覧ください。
1.合計や平均を移動するメリットは何か
問題
次の表を作りなさい。
解説
最も分かりやすい例は、「過去3か月にさかのぼった平均」のように過去の期間を決めて合計や平均を求めるパターンです。この場合、合計や平均の期間が1か月ごとにずれていきます。
3月の場合、過去3か月の合計とは1月~3月までの合計です。文字列連結をします(参考:【Excel】文字列結合、スペース・改行・ダブルクォーテーションの連結)。
オートフィルをします。相対参照によって期間が変わります。
単位は1か月でなくてもよいです。過去1週間、過去3年でもよいです。移動合計や移動平均を求めるときは必ずさかのぼる期間を固定します。
過去1週間の合計(平均)は「月火水木金土日」を1回ずつ足しますから、曜日に関係のない変動を見ることができます。
例えば、1日ごとの売上だけを見ても傾向を分析することができません。曜日やイベント、天候などによって変動が大きくなるからです。
移動平均を求めることで不規則な変動を減らすことができます。いっぱんに移動合計や移動平均を求めると不規則なデータの変動が減るので、全体的な傾向や流れが見やすくなります。
過去3年の平均も2年前(今年、昨年、一昨年)にさかのぼって平均を求めます。
また、駅と駅の間の所要時間や距離が分かっていれば、「3つ先の駅まで」の時間や距離も、移動合計で求めることができます。このように区間を固定しながら合計や平均を求めます。
2.移動合計
問題
次の図で12か月移動合計を求めなさい。
解説
オートSUMのボタンを押します。セルC13に求める合計は、4月から3月までの合計です。これで完成です。
これをオートフィルします。
例えば、9月の合計は、昨年10月から9月までの合計になります。
12か月移動合計は過去12か月分の合計のことです。このように期間を一定にして、移動させながら合計を求めることを移動合計といいます。移動合計は相対参照です。
3.移動平均
問題
次の図で3か月移動平均と4か月移動平均を求めなさい。
解説
移動平均は、期間を一定に保ったまま移動させた平均のことです。
3か月の移動平均は、3か月目から求めることができます。1か月目と2か月目はありません。Excelでは相対参照によって、オートフィルをするだけで移動平均になります。
3か月の平均を求めます(オートSUMボタン)。
オートフィルをします。
相対参照によって範囲も動きます。
同じように4か月移動平均を求めます。4か月の平均は少なくとも4か月間の販売が必要です。したがって、4か月目から計算します。
平均を求めます。オートフィルをします。これで完成です。
解説は以上です。
4.動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなび実力養成講座「ファンダメンタルExcel」Program 6-1-3、6-10-2 の2本のYoutube動画を書き起こしたものです。
- ファンダメンタルExcel 6-1-3 補講 移動合計【わえなび】 (ファンダメンタルExcel Program6 オートSUM) - YouTube
- ファンダメンタルExcel 6-10-2 補講 移動平均の基本 AVERAGE【わえなび】 (ファンダメンタルExcel Program6 オートSUM) - YouTube