算数の問題で、70と80の大小関係を不等号で表すと、70よりも80のほうが大きいので「70<80」です。
しかし、「70<80」になるのは比較する70と80が同じ種類である場合に限られます。
例えば、70kmと80cmでは、明らかに70kmのほうが長いです。また、70kmと80cmを足しても「150」という数字は出てきません。このように、異なる種類のものを数字だけで比較したり、足したり引いたりするのは全く意味がありません。
ここまでは理解していただけると思います。
しかし、パーセントが苦手な人に「70%>80%」という場合もあり得るといっても「なぜ?」と言われてしまいます。おそらく、同じ%という単位を使っているので、同じ種類だと思ってしまうのでしょう。
日本の人口の70%と、DASH島の人口の80%では、前者の方が圧倒的に多いです。
これらを足したからと言って、何かの150%になるわけでもありません。パーセントは、元の量を表す分母が重要で、分母が異なればパーセント同士を比較する意味もなければ、足したり引いたりするのは絶対にダメです。
今回は、パーセント同士を比較してもよいかについて出題します。
目次
1.パーセンテージの復習
パーセンテージについては別の記事で解説していますのでこちらの記事をご覧ください。
2.世界シェア
問題
次の図で、10年間で世界シェアが増えたかどうかを求めなさい。
解説
業界全体の中で自社の占める割合がシェアです。正確には市場占有率(market share)といいます。シェアも構成比率の一種です。対象となる数値を全体の数値で割って構成比率を計算します。
自社の生産台数を世界全体で割ります。相対参照です。
これで完成です。85-78と引き算をして、シェアが約7パーセント上がったことになります。
シェアが増えただけで生産が7%増えたわけではありません。むしろ生産台数は下がっています。
ところで、この7%に対する元の数、つまり100%にあたるものはありません。2000年でも2010年でもないです。これではパーセントの意味がありません。
この場合、7ポイント上昇または7パーセントポイント上昇と表現します。このように分母が異なるパーセントを引いた数を「パーセントポイント」といいます。
3.分母の異なるパーセンテージを足してはいけない
問題
次の説明の誤りをそれぞれ指摘しなさい。
「増減率を計算すると、Aはプラス2%、Bはマイナス2%なので、2つの町を合わせると0%で増減なしである。」
解説
パーセンテージは割り算で計算しますが、その分母が異なる場合、絶対に足したり引いたりしてはいけません。
Aが100人増えて、Bが200人減っていますから合わせると減少していることは明らかです。パーセンテージの元となる数は5000人と10000人ですから分母が違います。それぞれ合計を出してから増加率を計算します。
4.前年比は元にする量が毎年変わる
問題
次の説明の誤りをそれぞれ指摘しなさい。
「前年比を計算すると、プラス25%とマイナス4%なので、2年間で21%増えたことになる。」
解説
前年比は前年をもとにしているので、40万人の25%と、50万人の4%では元の数が違います。この2つのパーセンテージを足すのは間違いです。
2050年比を算出します。絶対参照が必要です(参考:【Excel】絶対参照は表の形とコピーの有無で判断できるように練習せよ)。
2年間で20%増です。
ちなみに、25%-20%は5%です。この引き算は正しいです。いずれも2050年の人口と比較しており、分母が同じだからです。40万人の5%にあたる2万人が減少しています。
5.パーセントポイントを使った例
問題
次の説明の誤りをそれぞれ指摘しなさい。
「B店の売り上げ構成比が-50%ということは、売り上げが半分になったということである。」
解説
構成比の分母は合計です。合計が変わらなければパーセントを比較しても構いません。今回の場合、合計の売り上げが3倍になっているので、構成比を単純に比較することは間違いです。実際、B店も売り上げが増えています。
しかし、昔はB店のほうが売れていたのが、今ではA店のほうが売れているのは事実なので、パーセントをなくして、50ポイント減少などと表現します。
解説は以上です。
6.動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなびExcel新演習1割合の重要事例 Program1-6、1-6-2 の動画の内容を書き起こし、加筆修正したものです。
動画版(完全版)は、Youtubeにすべて無料で公開しております。ぜひ、ご覧ください。
Excel新演習1数式・割合の重要事例(全13回)【わえなび】 - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PLRaY8kd5CoxN7kDWMfv64FEP_ox3oytHl