WordやExcel、PowerPointの機能を解説するときには、当然、著作権の問題を意識しなければなりませんが、画像の取り扱いを解説するときには特に注意が必要です。
画像の挿入の方法を知らない初心者は、画像の利用に関する知識も不足しているはずです。原則として加工してはいけないということを伝えないまま、「画像加工は簡単ですよ!」などと説明して初心者を満足させるのはあまりにも無責任であり、初心者に誤解を招く恐れがあります。
Wordでロゴマークを改変したら権利者に訴えられることもありますし、画像を作るだけで逮捕・処罰されることもあります。
初心者が学習するための書籍やサイトには画像の加工は簡単ではないという注意書きをしっかりと載せていないものが多く、教材としてはいかがなものかと思ってしまいます。たばこの警告表示と同じくらい目立つように注意喚起をするべきです。
そこで、今回は、画像挿入を学ぼうとする初心者が常識として知っておくべき知識のなかで最も重要な項目である、画像のサイズ変更について出題します。
- 初心者に「画像の加工は簡単だ!」という誤解を与えてはいけない
- 2つの同じ画像をトリミングして組み合わせる練習問題
- プリントスクリーンでスクリーンショットを撮る方法を教科書に載せてほしい
- 【Wordのみ】Wordで自由に画像を貼り付けるには「文章との重なり方」に注意せよ
- 【Wordのみ】画像を含むWord文書の作成手順と枠空けの練習問題
目次
問題文のあとに簡単な操作方法を解説していますが、静止画では、わかりにくいと思いますので、最後に動画を載せています。ぜひご覧ください。
1.画像の加工は原則禁止です
著作権法その他の法律や権利関係によって、画像を利用することが制限される場合があります。自分のパソコンに保存すれば自由に利用できるわけではありません。また、利用を許可された場合や著作権フリーと明記されている場合であっても、原則として加工することは禁止です。
画像の加工をどの程度許可するかについては、その画像を作った人が決めるのであって、利用者が勝手に決めてはいけません。画像を改変するときには利用規約を必ず確認します。
- 画像の色を変えてもよいか
- 切り抜きや切り落としをしてもよいか
- サイズを変えることは許されているか
- 画像の上に文字を乗せてもよいか
- 写真の撮影者名や画像の作者名を表示する必要があるか
たいていの場合、文字を入れる、外側を切り落とす、拡大縮小以外は禁止です。
特に、Wordなどの場合、画像のサイズを変えることが簡単にできてしまいますが、「できるかどうか」と「許されるかどうか」は別問題です。Wordなどで画像を改変する機能があったとしても、勝手に加工をしてはいけません。
2.縦横比を変えてはいけない
問題
次の画像のうち縦横の比率を変えても良いものはどれか。
- 長方形
- ロゴ
- 写真
解説
(1)アスペクト比
図形の縦の長さと横の長さの比率を縦横比またはアスペクト比 aspect ratio といいます。
図形を拡大するときは、必ず、縦横比を固定するかしないかを意識します。縦横比を固定すると、図形のイメージを変えることなく大きさを変えることができます。
形は一定です。
縦横比を変えた場合、形が変わるため、図形のイメージが損なわれます。
特に、女性を横に引きのばすのは失礼です。
(2)単純な図形の変形は加工にあたらない
長方形のように、直線や塗りつぶしだけで領域を表す図形は縦や横に自由に引きのばしても構いません。縦と横の比率が変わっても差し支えありません。
(3)縦横比は必ず固定する
シンボルマークや写真のように、画像に意味があるものは、縦と横の比率を変えることは絶対禁止です。
特に、ロゴマークについてはほとんどの改変が禁止です。自分の所属する会社や組織のロゴマークの縦横比を変えることは絶対禁止です。また、他社のロゴマークを改変するのはもってのほかです。縦だけ伸ばす、または横だけ伸ばすことは絶対に許されません。
大きさを変える場合は、縦横比を固定したまま変えます。
比率を変えることが、法律や規則によって禁止されている場合もあります。
Wordでは、図形のサイズを変える画面には必ず、縦横比を固定するチェックがあります。原則として縦横比は固定します。
3.縦横比と切り抜き
問題
次の画像を文書に挿入した。
次の5つのなかで許されない使用方法はどれか。
- 拡大
- 縮小
- 上部を切り落とす
- 横101%
- 縦99%
解説
与えられた画像を拡大したり縮小したりすることはよくあることです。縦横比を変えないように大きさを変えることはおおむね許されています。ただし、アイコンのように、小さい画像を大きくするとぼやけることがあるので注意が必要です。
画像の上をカットすると、縦横比が変わります。
しかし、縦または横の一方向に引きのばしたわけではなく、ペンギンの形が変わったわけではありません。フリーの画像であれば許されます。
(縦または横の一方向に伸縮するのはダメ。縦横比固定のまま拡大縮小してその一部をカットするだけであればOK)
ただし、ロゴマークや芸能人の宣材写真のように改変が絶対に許されない画像は、その一部を切り落とすことも許されません。
写真の縦横比は1%でも変えてはいけません。縦を101%に伸ばしたり、横を99%にしても、肉眼では縦横比が変わったかどうかが分かりませんが、絶対に許されません。1%でも縦横比を変えてはいけないという気持ちで画像を扱うべきです。
4.縦横比を考えて挿入する領域を確保する
問題
Aの画像をBの余白に挿入しようとしている。このときに検討すべきことは何か述べなさい。
解説
画像は、縦と横がほぼ同じ大きさのものと、縦長のものと、横長のものがあります。縦長のものをポートレートPortrait、横長のものをランドスケープLandscapeということがあります。
画像は、縦横比を変えてはいけないので、縦長の画像を横長の領域に差し込むことは不可能です。
また、横長の画像を縦長の領域に差し込むことも不可能です。
このように、文書に画像を挿入するときには、縦横の比率を考えて領域を確保します。
縦長の画像を挿入するには、縦長の領域を確保するのが原則です。
ロゴのように改変が許されない場合、左右が余白として空いてしまうのはやむを得ないので、このまま空白にします。画像を挿入することによって余白ができてしまう場合は、余白としてあけたままにするのが正しいです。
上下をカットすることが許される画像であれば、縦横比を考慮してカットしたうえで、縦横比を変えないまま、大きさを変えて挿入します。
5.動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなび実力養成講座「ファンダメンタルWord」Program10-1 の動画を書き起こして、加筆修正したものです。
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