ExcelのデータをCSV形式で保存すると、CSVで保存されなかった書式はどうなるのかという問題があります(ということが理解できない人が多いようです・・・)。
職場の先輩やサポートの人が、CSV登録の仕事を初心者に教えることがあります。しかし、偉そうに教えている人も実はCSVのことがあまり分かっていなくて、マニュアルにないことを聞かれてあたふたすることも多く、また、間違ったことを教えることもあります。CSVのことを教えるのであれば「CSVとは何か」を理解しなければなりません(本気で理解したい初心者のためのCSV勉強会資料)。
そして、CSV保存とシステムへの登録作業は正しく理解しないと、システムに重大な影響を及ぼす可能性があり、大変危険です。決して簡単な作業ではありません。
そこで、今回は、ExcelでCSV保存の作業をするのにどのようなことを理解すればよいかについて解説します。
- 8個の基本パターンで完全習得「リスト形式」の教科書
- 本気で理解したい初心者のためのCSV勉強会資料
- CSVファイルとExcelの関係を本気で理解するための確認テスト10問
- 初心者のためのCSV取り込み事例演習教材(勉強会資料)
- 初心者が「CSVで保存してアップ」を理解するのは意外と難しい(勉強会資料)
- タブ区切りTSVファイルとスペース区切りの練習問題
- まとめ Excelで学ぶCSVファイル作成と利用の基礎理論_復習テスト付き
問題
Excelを用いてCSVファイルを作成し、システムに登録するという作業を初心者が行うときの注意点を述べなさい。ただし、この問題で初心者とはExcelの検定3級相当のスキルを有している者とする。
解説
- 1.CSVを作る
- 2.CSVで保存するときの警告の画面について
- 3.CSVの保存とExcelの保存
- 4.CSVの修正方法いろいろ
- 5.インポートとは何か
- 6.インポートの注意点
- 7.動画版はこちら(無料)
1.CSVを作る
いま、次のようなカンマ区切りのデータを作ろうとしています。
これをメモ帳で入力するのは面倒です。
このような連続したデータはExcelで入力したほうが早いです。オートフィルを使えば簡単に入力できます。
名前を付けて保存をします。ここで、ファイルの種類をCSV(コンマ区切り *.csv)にします。そして、適当なファイル名を付けて保存をします。
ExcelでCSVファイルを作るには、名前を付けて保存をすればよいです。ただし、ファイルの種類をCSV、カンマ区切りにすることに注意します。
このとき、警告の画面が1つまたは2つ表示されますが、「はい」と「OK」で進みます(後述)。
これで保存されます。このとき、タイトルバーとシート名がファイル名になります。
メモ帳を起動します。保存したファイルを開く(メモ帳にドラッグ)と、カンマで連結されています。
CSVとして保存すると、Excel上に表示されている文字を、カンマでつないだ文字列だけの情報になります。
2.CSVで保存するときの警告の画面について
Excelは、文字列の情報と、文字列以外の情報を持ちます。CSVは文字列だけです。文字列以外の情報には、書式やセルの場所、ページ設定、数式、図形などがあります。CSVで保存すると、これらの情報は保存されません。また、列幅や行の高さも保存されません。
CSVで保存するときには、文字列以外の情報がすべて失われるという確認の画面が表示されます。
もちろんシートの情報も保存されません。複数のシートがあっても、保存されるのは1枚のシートだけです。複数のシートがある場合は、他のシートは保存されないという注意の画面が表示されます。
3.CSVの保存とExcelの保存
Excelで新規の文書を作成したとします。まだ保存をしていないので、ファイル名は「Book1」のままです。
名前を付けてCSV形式で保存します。タイトルバーに、保存したCSVのファイル名が表示されます。
ここで問題です!CSVとして保存した後、Excelを閉じてもいいでしょうか。
繰り返しになりますが、大事なことなので2回書きます。Excelは、文字列の情報と、文字列以外の情報を持ちますが、CSVで保存されるのは文字列の情報だけなので、それ以外の情報は保存されません。実際に保存されているデータはカンマ区切りの文字列だけです。
CSVで保存して満足して、そのままExcelを閉じると、塗りつぶし、罫線、フィルタなどの情報が全部消えます。Excelを終了する前に、Excelの形式で保存する必要がある場合には、名前を付けて、ファイルの種類をExcelの形式にして保存しなおします。
特に、複数のシートがある場合には、すべてのシートを保存したかについて確認してから、Excelを閉じるようにします。
4.CSVの修正方法いろいろ
さきほど保存したCSVファイルはこのようなカンマ区切りのデータです。このデータの一部を修正する方法は、何通りかあります。
(方法1)簡単な修正であればメモ帳(エディタ)で直してしまった方が早いです。修正して上書き保存をします。
(方法2)直接開いても問題ない場合に限り、直接開いて修正します。Excelが起動します。タイトルバーがそのCSVのファイル名になっていることを確認して上書き保存をします。
(方法3)CSVは通常、テキストファイルウィザードで取り込みます。
この場合は、CSVを読み込んでExcelのファイルとして表示しているので、タイトルバーは「Book1」のままです。CSVで保存する場合は、名前を付けてCSVとして保存をします。
いずれの方法であっても、Excelを保存するのか、CSVを保存するのか、どのデータを保存したのか、保存したいデータはすべて保存されたのか、を意識しながら作業しなければいけません。
5.インポートとは何か
ここから、データベースシステムについて説明しますが、システムによって使い方が異なるので、今回は、わえなび公式サイトのデモ画面で説明します。
ファンダメンタルExcel_Program 10-15. CSV事例演習2(インポート)
https://waenavi.jp/htm/fx10-15.html
これは、データベースシステムのイメージです。データベースシステムに情報を登録するには、原則として、このような登録画面で1件ずつ入力します。
しかし、データが大量にある場合、入力するのが大変です。
最近のデータベースシステムのなかには、事務作業軽減のため、CSVファイルで大量に登録できる機能をもつシステムがあります。このように、同じ形式のデータを大量に登録することを「一括登録」といいます。
いっぱんに、保存されているファイルを開いて(中身を読み込んで)、データを利用することを「インポート」、または、ファイル入力といいます。
例えば、データベースシステムに対してCSVファイルを送信すると、システム側では受け取ったCSVファイルを読んで登録の処理を行います。これを「システムにインポートする」または「システムに取り込む」といいます。
通常、データベースに登録するときには、インターネット回線又はLANを使ってデータを送りますので、「アップロード(アップ、上げる)」「送信」「登録」などということがありますが、すべて、インポートと同じ意味です。
6.インポートの注意点
(1)エクスポート(保存)よりも慎重に操作すること
エクスポートは、データを吐き出してパソコンに保存するだけなので、システムのデータが変わることはありません。これに対して、インポートはシステムにCSVを送信してデータを取り込むので、操作を間違えた場合にシステムに重大な影響を及ぼす可能性があります。
間違えたデータを送って、簡単に削除できる保証もありません。
したがって、インポートはエクスポートよりも慎重な操作が必要です。マニュアルを確認しながら操作します。
(2)リスト形式にすること
システムに登録するためのCSVは、通常、1行目に項目名があり、2行目以降にレコードがあるリスト形式です(参考:【神Excel】8個の基本パターンで完全習得「リスト形式」の教科書)。
2行目以降は、1行につき1件の登録となります。
(3)項目名(フィールド)の指定がある場合はそれに従うこと
システムによっては項目名が指定されている場合があります。項目名のことをフィールド名またはカラム名ということがあります。マニュアルに従って入力します。
システムに添付されているマニュアルの中で、インポートの方法に関する説明を見ます。項目名は1文字でも間違えたら登録できません。
サンプルとして、項目名がダウンロードできる場合や、エクスポートしたファイルがそのまま一括登録用として使えるシステムもあります。これは、そのままExcelで開いても構いません。
(4)フィールド定義があるものはそれに従うこと
マニュアルの中に、項目名とデータを入力する際の注意事項を記載したフィールドの定義の記載がある場合にはそれに従います。
マニュアルで、項目の説明があるか確認します。縦向きに項目名が並んでいます。
CSVの1行目に横向きに入力します。
また、2行目以降はそれぞれの項目の注意事項に従って入力します。
ただし、原則として「半角カンマ」を使ってはいけません。半角のカンマはCSVの区切り文字であり、これをデータとして入力すると「区切り」と誤認識(誤探知?)してしまう可能性があるからです。使用可能かどうかは事前の確認が必要です。
そのほかに、システムに影響を与える恐れのある文字として、セル内での改行やタブのような制御文字、環境依存文字、半角カタカナなどがあります。これらを入力してもよいかどうか、システム担当者に事前に確認しておくとよいでしょう。
(5)初めてインポートをするときには1件だけのデータで実験すること
CSVのデータはできましたが、これをいきなり取り込んではいけません。
大量のデータをインポートするのは危険です。
間違えたときの修正が大変なので、初めてインポートをするときには1件だけのデータで正しく取り込まれることを確認します。
別のシートに1件だけのデータを作ります。名前を付けて保存します。このとき、ファイルの種類がCSVになっていることを確認します。
1件だけのCSVファイルをアップロードします。うまくいった場合は、システムに取り込んだ実験のデータを消して、元のデータをCSVファイルにしてアップロードをすればよいです。
(6)項目名(フィールド)の指定がない場合は適当に項目名をつけて、マニュアルに従って関連付けをすること
一部の年賀状ソフトやメールソフトでは、1行目の項目名の指定がない場合があります。指定が無ければ、自由に項目名をつければよいです。
この場合は、CSVを取り込んだ後で、マニュアルの手順に従って、関連付けの操作をする必要があります。
解説は以上です。
7.動画版はこちら(無料)
この記事は、わえなび実力養成講座ファンダメンタルExcel 10-12、10-13、10-15の3本の動画を書き起こしたものです。
- ファンダメンタルExcel 10-12 CSVとして保存する
- ファンダメンタルExcel 10-13 Excelの保存とCSVの保存
- ファンダメンタルExcel 10-15 CSV事例演習2(インポート)
動画版(完全版)は、Youtubeにすべて無料で公開しております。ぜひ、ご覧ください。
ファンダメンタルExcel 10 CSVファイル(全16回)【わえなび】 - YouTube
https://www.youtube.com/playlist?list=PLRaY8kd5CoxO3pLNr9XniSBBg88rBLZ2l
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